TOP2017年09月生死分けたあの日の山 山頂近くで黙とう
建て替え中の山小屋「二ノ池本館」近くの入山規制ロープが張られた場所で山頂に向かって手を合わせる松本さん(左端)ら=27日午前11時52分

 犠牲者58人、行方不明者5人を出した御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火災害から3年となった27日、噴火に遭遇しながらも生還した人たちが、生死を分けた山頂近くまで登り、犠牲者を追悼した。

 愛知県豊田市の会社員松本進さん(43)は昨年に続き、山頂と9合目の間にある二ノ池まで登り、噴火発生時刻の午前11時52分に黙とうした。

 噴火当日、小学生だった息子と山頂から続く八丁ダルミを下っていた。「プシュ、プシュ」。火口方面から水蒸気が噴き出すのを目にした。間もなく、噴煙が上がり、噴石が襲ってきた。2人で急いで駆け下り、王滝頂上山荘に逃げ込み難を逃れたが、「生きた心地がしなかった」。噴火では同じ愛知県からの登山者が多く被災。「同郷の人が犠牲や行方不明になり、人ごととは思えない」とし、慰霊登山に臨んだという。

 山梨県富士吉田市の会社員高野寛司さん(66)はこの日、入山規制手前の王滝口登山道9合目まで登り、手を合わせた。噴火当日は仲間4人で登っていた。午前11時半ごろ、4人は王滝頂上山荘に到着。他の3人は山頂で昼食を食べたいと言い、高野さんが着替えている間に出発した2人が犠牲になった。

 「強引にでも山荘で食べるように言えば助かったのに...」。噴火後、自らを責めた。亡くなった仲間の葬儀に参列。遺族からの厳しい言葉を覚悟したが、「これに懲りず、また御嶽に登ってください」。優しく声を掛けられた。

 噴火1年後から毎年9月27日に慰霊登山を続ける。今年8月末、亡くなった2人が登れなかった北アルプス槍ケ岳に御嶽山噴火後初めて登った。この日、御嶽山の9合目に花を手向けながら「槍ケ岳に行ってきたよ」と心の中で2人に報告した。「友と山に登った楽しい記憶を胸にたたき込んで悲しい思いは忘れたい。でも、噴火災害を風化させたくない気持ちもある。来年も登りたい」と話した。

2017年9月28日掲載