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市田柿 変わる生産 変わらぬ愛  品質維持へ地元メーカー・農家奮闘
(2010年11月22日掲載)
 

   <輝く飯伊の「宝物」>
夕日を浴びてひときわ色鮮やかな民家の柿すだれ=飯田市中村



市田柿のおいしさは天竜川の霧が醸すと言われる=飯田市座光寺



<皮むき機> 柿をローラーで固定する皮むき機の動きに視線が集まる=飯田市の飯伊地域地場産業振興センター



化粧箱や脱酸素剤など市田柿の仕上げ用品が目立ち始めた農業資材専門店=飯田市中村
 

<粉だし機> 三和精機が地元柿農家のアイデアで製品化した「粉だし機」。コンテナに入れた干し柿を揺すり、白い粉をふかせる=飯伊地域地場産業振興センター





柿の皮の天日干し。漬物に入れるとうま味が増す=飯田市座光寺

 柿の皮むき作業が終盤を迎えた飯田下伊那地方。特産の「市田柿」作りでは、省力化に加え、高品質を維持するための機械の改良が進んでいる。

 皮をむく「柿むき」に広く使われているのが、果実に針を刺して固定して皮をむく機械。だが、実が傷みやすいとされ、みなみ信州農協(本所・飯田市)は針を深く刺す方式の機械でむいた柿の取り扱いを、2014年にやめる方針。衛生面を考慮し、高品質を維持するためだ。

 針を刺さないで皮をむく機械は、既に県外メーカーが販売している。空気を吸引して実を固定する方式などを採っており、同農協と取引する柿農家の4割強が導入。ただ、空気を圧縮するコンプレッサーを含めると価格は1台150万〜190万円と、従来の機械より30〜50万円高い。

 こうした中、飯田市の機械メーカー「三和精機」が新規参入して、価格を抑えた皮むき機を今春、発売した。ローラーで実を固定する方式だ。「地元企業として、負担増で困っている柿農家を何とかしなくては−という思いで開発しました」と沢宏宣社長(36)。同程度の性能の他社製品よりも25%ほど安いという。

 同社が18日に開いた実演展示会では、実の大きさや形の違い、柔らかくなりかけた実にも対応できるか−など、農家から質問が相次いだ。中には柿を持参し、処理の速さや表面の仕上がり具合を確認する人もいた。

 同農協が見込む今季の市田柿の出荷は1200トン弱。猛暑の影響などで昨季実績より80トンほど少ない。針を刺さない機械を導入し、同市伊豆木の自宅で皮むき作業に励む松村定利さん(78)は「機械化はしても柿一つ一つに愛情を持って接しているよ」と話していた。

[写真・文 宮坂雅紀]
 
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