写真グラフ
 

温泉育ちフグ すくすく成長  飯田・遠山郷 膨らむ期待
(2012年3月19日掲載)
 

2基ある直径約2メートルの水槽内を群れて泳ぐトラフグ。ストレスを与えない環境づくりも欠かせない




水槽の中を回遊するトラフグ(水中で撮影)




飼育用の水槽の温泉水はフィルターと貝殻、活性炭を入れた浄化槽でろ過し、循環させて使用している




提携企業のある栃木県那珂川町から到着し、地域住民が期待の目で見つめる中、温泉水を満たした水槽に放たれるトラフグ=昨年11月
 


時折、水面から顔をのぞかせるトラフグ



フグの成長を確かめるために行う体長と重さの測定。専用の機器で毎日行う水質調査のデータと合わせ、飼育のノウハウ確立に生かす



深い山あいにある飯田市南信濃地区。中央下の川沿いにある「かぐらの湯」の敷地内でトラフグの試験飼育が行われている

 山に囲まれた飯田市南信濃で「山育ちのフグ」の商品化を目指し、市南信濃振興公社が試験飼育を始めて約4カ月。遠山郷にある日帰り温泉施設「かぐらの湯」の塩分を含む温泉水を利用した水槽では、約200匹のトラフグが元気に泳ぎ回っている。

 飼育を始めた昨年11月には大きい個体で体長20センチ、重さ230グラムほどだったフグ。魚のすり身などで作った餌を食べ、今冬の厳しい冷え込みで一時期水温が低下したために成長が遅れたものの、29センチ、600グラムほどになった。海での養殖は1年半から2年かけて30センチ、1キロに育てて出荷するが、水温約20度の温かい温泉水で育てると1年ほどで同じサイズになるとされる。同施設では、足湯で使った湯の熱を水温維持に再利用している。

 温泉水によるフグの養殖に取り組んでいる栃木県那珂川(なかがわ)町の企業と提携。現在は、飼育のノウハウを手探りで学びつつ、採算性や流通ルートの確保など事業化に向けた模索を続けている。

 「冬場は乗り越えることができたが、水温が上がる夏場の管理に課題もある」と、フグの飼育担当で、40年ほどアマゴの養殖に携わってきた鎌倉詔さん(64)。2千匹の養殖を目標に掲げる同公社の後藤修三理事長(73)は「温泉の成分によってトラフグの味は変化するとされる。ここ遠山郷の温泉で育ったトラフグの味がどうなるか今から楽しみです」と期待を膨らませている。

[写真・文 渡会浩]
 
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