写真グラフ
 

シカ衝突対策 列車あの手この手  県内で運行の各社 試行錯誤
(2012年11月26日掲載)
 

小海線の衝突事故多発地帯で、11月に新設したシカ侵入防止柵。高さ2メートルの柵が線路沿いに続く=山梨県北杜市の甲斐小泉−小淵沢間




シカ侵入防止柵に囲まれた線路を走る列車=北杜市の小海線・甲斐大泉−甲斐小泉間




三重県と和歌山県を結ぶ紀勢本線ではシカ衝突の衝撃緩和と巻き込み防止のため、特急「ワイドビュー南紀」の先頭車両下部にスポンジ状のゴムでできた灰色のカバー(連結車両タイプ)を装着=JR名古屋駅
 

シカ侵入防止柵を設置した線路沿い。夜、周囲の山中で甲高いシカの鳴き声が響く=南佐久郡南牧村の小海線・佐久海ノ口−佐久広瀬間




小海線沿いの山中に出没したシカ。ストロボ光を反射した目が暗闇に白く光った=南牧村海ノ口




先頭車両の右下に取り付けられた通称「シカ笛」=佐久市中込の小海線営業所検修庫

 県内各地でニホンジカによる農林業や高山植物への被害が深刻化する中、列車との衝突事故も増加傾向にある。運行各社は、列車の遅れなどの影響を最小限にとどめよう―と、あの手この手の衝突対策を講じている。

 JR東日本長野支社管内で2011年度に発生したシカとの衝突事故は、統計を取り始めた02年度の約3倍に当たる158件で、本年度も10月末までに約80件発生。県境の山あいを走る中央西線や飯田線を含むJR東海管内でも、05年度の271件から2011年度には512件と、倍近くに増えた。

 昨年度、100件の衝突事故があった小海線。JR東日本はこれまでに、小海―信濃川上(16・8キロ)や野辺山―小淵沢(23・4キロ)など事故多発区間の線路沿いに、延べ8・6キロにわたって高さ約2メートルの侵入防止柵を設置した。車両にも4年前から通称「シカ笛」を装着、走行中の風を利用しシカが嫌う音を出している。JR東海も、速度を時速40キロに落としたりシカが嫌う猛獣のふん尿をまいたりと、試行錯誤を繰り返してきた。

 「個体数が増えているせいか、なかなか事故が減らない。踏切など柵のない所から侵入していると思われるが、線路全てに柵を設けるのは難しい」と、JR東日本長野支社小海線営業所の栗原慎一工務科長(51)。沿線の柵設置範囲を毎年拡大しているものの、実効性ある対策が見いだせずに頭を悩ませている。

[写真・文 中村桂吾]
 
写真グラフ 信毎フロント

掲載中の記事・写真・イラストの無断転用を禁じます。
Copyright© 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun