写真グラフ
 

松本 住宅地に努力の輝き  ホタルの生息地 移した公園
(2013年7月8日掲載)
 

水路沿いの草むらで瞬くヘイケボタル。住民有志の努力で一晩で100匹以上が出現するようになった=4日午後7時32分から午後9時2分までに撮影した102枚を重ねた



会員が用意したコップにホタルを入れてじっくり観察する小学生。元いた場所に放せば、ホタルを捕まえることも許されている=6月30日




手のひらの上で光を放つヘイケボタル




暗くなり始めても商業施設の明かりがまばゆい庄内地区。公園は中央の店舗の右奥にある
 

「庄内ほたると水辺の会」が開いた今年最初の観察会。親子連れなど約130人が参加した。水辺の会のモットーは「ホタル“も”すめる自然環境の維持」だ=6月29日



ホタルの発生を前に周囲の明かりを遮るため、水路をよしずや寒冷紗で囲う会員たち=6月15日



ホタルをたくさん載せた帽子をかぶる女性。庄内北公園ではホタルを傷つけないように気を付ければ、こんな遊び心も大丈夫

 複合商業施設に隣接した住宅地のど真ん中、松本市筑摩1に、この時季になるとホタルの光が瞬き、大勢の人が見物に訪れる奇跡のような公園がある。

 2010年に完成した「庄内北公園」。一角には柳の木に囲まれた40メートルほどの「ホタル水路」があり、6月下旬からヘイケボタルの光が見られるようになり、7月に入ってからは連日100匹以上が光を放っている。

 一帯が大規模な土地区画整理事業により水田地帯から宅地・商業地域に変貌する過程で「ホタルの生息地を残したい」という住民の声に市が応え、埋められることになった小川から03年11月、ホタルの幼虫を草や川底の泥、土手の土ごと現在地の仮設水路に引っ越した。

 翌夏には延べ166匹のホタルを観測したが、3匹しか飛ばない年もあった。幼虫放流や環境整備の結果、ここ数年は自然繁殖だけで一晩に100匹以上が発生するようになった。生息地再生の助言をした信州大理学部の藤山静雄教授(64)によると「ホタル復活に取り組む地域は多いが、泥など環境ごと移した実例は他にない」という。

 声を上げた住民有志はホタルにかかわり続け、06年に「庄内ほたると水辺の会」を結成。水路の清掃や草刈りなど維持管理とホタルについての学習を行っている。

 会長の青木繁之さん(73)は「子どもたちに身近な場所でホタルの光を見せたかった。子どもたちの歓声を聞くと張り合いになります」と話している。

[写真・文 吉沢正志]
 
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