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「すがれ追い」ファン獲得を  県内愛好会 昆虫食推奨も追い風
(2013年10月21日掲載)
 

伊那市地蜂愛好会が開いた地蜂の巣の重量コンテスト。幼虫の詰まった巣をずらりと並べ、即売も行った=20日、伊那市西箕輪のみはらしファーム




見つけ出した地蜂の巣を、煙で成虫を弱らせて土の中から掘り出す。小ぶりだったが、蜂の子がぎっしり詰まっている=5日、佐久市布施




生地に成虫を混ぜて焼く「地蜂せんべい」を作っている宮下製菓店。大町地蜂愛好会が2007年から販売している=安曇野市
 

<童心に帰って> 「飛ぶぞ」「そっちだ」。足場の悪い雑木林の中を、巣に戻る蜂を追って夢中になって突き進む=5日、佐久市布施




伊那市地蜂愛好会の田中耕一会長は自宅で、すがれ追いで採った地蜂の巣を育てている。今年は地元で巣が採れず4箱のみ=南箕輪村




国連食糧農業機関が昆虫食を推奨していることをアピールする看板を立てる農産物直売所=7日、伊那市の産直市場グリーンファーム

 地蜂と呼ばれるクロスズメバチなどを追い掛けて巣を探し蜂の子などを捕る「すがれ追い」の伝統を継承しようと、県内各地の愛好家らが、後継者づくりやハチの繁殖活動などに取り組んでいる。最も盛んな上伊那地方をはじめ、県内各地の愛好家の組織は高齢化が進行しているのが実情で、ハチの数も減少傾向。昆虫食は低価格で栄養価が高いとして、国連が今年5月に食料難の切り札に昆虫食を推奨したことも契機に、県内の愛好家らは蜂の子などの新たなファンづくりにも懸命だ。

 7月以降は週に2回はすがれ追いをする小諸地蜂愛蜂会。木の枝に下げた餌のカワマスに寄ってきたハチに、発泡スチロールと糸で作った目印付きの餌をくわえさせる。愛好家たちは薄暗い雑木林の中を飛んで行くハチを追い掛けて見失ってを繰り返し、巣を探し出す。会長の塩川正直さん(74)は「歳をとって追うのが大変だが、童心に帰って夢中になる」。この日は7人がかりで里山を駆け回り、1個の巣を見つけた。

 同愛蜂会の会員数は16人で、最も若い会員は40代。80代が2人いるほか、主力の会員は50〜70代という。最も多い時期には100人超の会員がいたという伊那市地蜂愛好会の現在の会員数も72人。父親と共に会員になっている高校生が1人いるほかは60〜70代が中心だ。

 乱獲や異常気象などで地蜂自体の数が減少していることから、同愛好会では人工的に越冬させた女王蜂を会員に配り、それぞれの持ち場で放すなど保全活動に取り組む。小諸地蜂愛蜂会は地域の伝統に興味をもってもらおうと、子どもたちを対象にした体験会も開催。大町地蜂愛好会では、地元の新しい名産品にと2007年から、蜂の成虫を生地にのせて焼いた「地蜂せんべい」を販売し、年間2千袋ほど売れているという。

 蜂の子の甘露煮など加工品や、生きた幼虫が詰まった蜂の巣も販売する伊那市の農産物直売所「産直市場グリーンファーム」の小林史麿会長(72)は「蜂の子はミネラルや栄養分が豊富。残していくべき文化です」と話している。

[写真・文 小西由紀]
 
写真グラフ 信毎フロント

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