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犬や猫 命つなぐ長野市  殺処分ゼロ目指し取り組み
(2013年11月18日掲載)
 

<ボランティアが世話> 長野市保健所からもらい手の付かない猫を預かり、世話をするボランティア団体の会員=長野市稲田




持ち込まれた野良猫の去勢手術をする動物病院。市は猫の不妊・去勢手術費用を助成する制度も本年度から改善し、市民1人が年1回だった制限をなくした。この動物病院は野良猫に限ってさらに費用を値引きしている=長野市三輪田町のこばやし動物病院
 

<小さな命 手に取って> 譲渡会に参加し保健所職員(右)の説明を聞きながら譲渡対象の猫を抱いてみる家族連れ=16日、長野市保健所



夜間に授乳が必要な子猫を自宅に連れて帰る長野市保健所の職員



ホームページに掲載するため犬の写真を撮る保健所職員。なるべくかわいく撮るのがこつという

 保健所で引き取る犬や猫の殺処分ゼロを目指す長野市の取り組みが成果を挙げている。引き取った動物を殺処分するまでの期限を撤廃し、病気などでやむを得ない場合を除き、新たな譲渡先が見つかるまで保健所などでの飼育を継続。殺処分の割合は2012年度に9・2%になり、4年前の5分の1まで激減した。ただ、職員やボランティアの負担も大きく、長野市保健所はペットを飼う人たちの意識改革の必要性も訴えている。

 「この子は人慣れしていてとても元気ですよ」。16日に市保健所で開いた譲渡会。ペットを探しに訪れた家族連れに、職員が子猫を勧めていた。子どもは「どの子もかわいくて迷う」。「家族同様の愛情をもって終生飼養します」などの条件を定めた誓約書を提出し、家族は引き取ることを決めた。

 市保健所は以前は動物を引き取ってから1週間程度たっても引き取り手が現れない場合、殺処分していた。しかし、「一つでも多くの命を救おう」と09年に期限を撤廃。犬や猫の写真を掲載したホームページで呼び掛けたり譲渡会を毎月開催したりして、新たな飼い主を粘り強く探すようにした。

 その結果、11年度の殺処分率は18・2%となり、都道府県、政令指定都市、中核市など動物愛護管理行政を担う全国の107の自治体の中で3位の低さ。元の飼い主に戻す返還率、新たな飼い主への譲渡率は全国トップクラスの高さになった。殺処分率の全国平均は79・0%。長野市を除く県の処分率は57・3%で15位だった。

 ただ、期限を定めず保護するには、保健所職員、施設だけでは対応が難しく、ボランティアの協力が欠かせない。

 ボランティア団体の「ねこの命をつなぐ会」は長野市稲田の民家の一部を借り、人慣れしていないなどの理由で譲渡先が見つからない猫を中心に10匹を預かり、少しずつ飼いならしている。他にも3団体が協力しており、現在は計17匹の猫の面倒をみている。

 市保健所乳肉・動物衛生係の笠原和浩さん(43)は「保健所で引き取った命は、多くの人の善意で守られている。保健所で引き取る犬猫がいない長野市になるのが理想だ」と話している。

[写真・文 米川貴啓]
 
写真グラフ 信毎フロント

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