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柚餅子―守れ 天龍の食文化  坂部地区 次代担う若手に期待
(2013年12月16日掲載)
 

<学ぶまなざし 真剣> 組合長の関京子さん(左)から柚餅子に適したユズの選び方について指導を受ける関公徳さん。実の大きさや皮の硬さ、傷の具合などを確かめながら選別する=11月25日




村の地域おこし協力隊も加わりにぎやかな加工施設=4日




県最南部の深い山あいの斜面にある天龍村坂部地区(中央)。16世帯30人が暮らす=4日
 

<地元小学生も挑戦> 関福盛さん(左から3人目)と自分たちで加工するユズを収穫する天龍小の3年生=11月29日




蒸し上がったユズの実を整える天龍小の3年生=11月29日





作業を始める前に加工施設の掃除をする関公徳さん(左)=11月25日

 愛知、静岡県境に近い下伊那郡天龍村坂部地区に古くから伝わる保存食「柚餅子(ゆべし)」作りに、地区の若手が加わり奮闘している。1975(昭和50)年に住民が生産者組合を発足させて作り続けてきたが、高齢化などで人手不足が深刻さを増しているのが現状。地域の食文化を継承するため、次代を担う若手への期待が高まっている。

 地区の若手・関公徳(きみのり)さん(34)は今年から柚餅子作りに加わった。組合長の関京子さん(78)らに、加工手順や柚餅子に適したユズの選び方などの指導を受けている。祖母らが柚餅子を作る姿を見て育ってきたという公徳さんは「柚餅子は地域の宝。しっかりと受け継ぐのが務めです」と話し、懸命に取り組んでいる。

 京子さんは「まずは柚餅子を知ってもらうことが大切」と学生などの体験を積極的に受け入れている。本年度の総合学習で柚餅子を学んでいる天龍小3年生の4人は、ユズの収穫から加工までを体験した。大沢慎ノ介君(8)は「一つ一つ丁寧に作るのでとても大変」という。子どもたちは、柚餅子の歴史や担い手不足などの悩みを学習。「柚餅子の事をもっと知ってもらおう」と、ポスターを作って郡内の道の駅に掲示する予定だ。今年は村の地域おこし協力隊員も作業に参加、加工施設に活気が満ちている。

 深い山あいにある坂部地区は16世帯30人。最盛期には30人いた組合員も人口減や高齢化で12人に減り、常時働けるのは組合長の京子さんと夫の福盛(よしもり)さん(82)の2人だけ。生産量もピークだった80年代前半には年間約1万4千個あったが、ここ数年は5千個ほどに落ち込んでいる。京子さんは「あと何年、中心になって働いていけるか分からない。受け継いでいく人を育成していく最後の時期にきています」と話している。

[写真・文 渡会浩]
 
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