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真空管に魅せられて  県内オーディオファン こだわり追求
(2014年5月26日掲載)
 

<愛する緻密さ> 1950年代のオランダ製真空管ラジオを修理する青木さん。内部構造から作り手の意思が垣間見え、「緻密に作りすぎてるんだよな」と楽しそうに笑った=15日、長野市北石堂町




大小さまざまな部品が並ぶ真空管ラジオを修理する青木さん。細かい手先の作業だ=15日、長野市北石堂町




真空管アンプ(左下)やクラシックなスピーカーが並ぶジャズ喫茶。この機器の音を目当てに訪れる人もいるという=14日、小布施町の「BUD」
 

電流を通すとゆっくりとフィラメントが赤くともる真空管=16日、富士見町境の「真空管ラジオミニ博物館」




1960年代初めごろに製造された真空管のオーディオ機器で聴く「昭和を愛する会」のコンサート。訪れた人たちは流れる歌謡曲に目を閉じて聴き入った=17日、飯田市鼎下山




真空管アンプなどの機器が並ぶ三井さんのオーディオルーム。古い機器を改造したり自作したりして理想の音を追求する=20日、長野市栗田

 携帯音楽プレーヤーやスマートフォンなどデジタル機器で手軽に音楽を楽しむ世代が増えた中、真空管を使ったオーディオの根強いファンがいる。「柔らかく、温かい」という音を味わうだけでなく、修理を請け負ったり、自作したりと、それぞれのこだわりで楽しんでいる。

 「この年になっても、修理するたびに新しい発見があって面白いよ」。長野市北石堂町で1989年まで電器店を営んでいた青木忠雄さん(87)=長野市安茂里=は今月15日、持ち込まれた真空管ラジオを見て目を細めた。戦後から修理を続けてきた青木さんの技術を頼って、今でも絶えず修理品が持ち込まれる。かつての店舗内で、真空管を使ったオーディオ機器を中心に修理を続け、修理代は最高で5千円という。

 真空管ラジオ収集の趣味が高じ、昨年6月に諏訪郡富士見町境に博物館を開いた中山文香さん=茅野市宮川。昭和初期からのラジオ100台ほどが約20畳の展示室に並ぶ。そのうち1台のスイッチを入れると、真空管の中のフィラメントがじんわりと赤くともった。「この瞬間が何ともたまらないんだよ」と、いとおしそうに見つめた。

 長野市栗田の会社員三井忠明さん(61)は、自宅の居間をオーディオルームにして、真空管を使って自作したり改造したりした装置で音楽を楽しむ。「良い音は良い演奏があってこそ」と、4千枚を超すジャズやクラシックのレコードも所有する。こだわりの機器が並ぶ居間に休日は一日中こもるという三井さんだが、「登山に例えるなら、やっと見晴らしが良くなってきたけれど、頂上はまだまだ先」の段階という。さまざまな機材を使い、試しながら、理想とする「演奏者の魂が聞こえる音」を追い求めている。

[写真・文 北沢博臣]
 
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