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松枯れ被害対策 県内で試行錯誤  農薬の空中散布や「更新伐」…
(2014年6月23日掲載)
 


新緑に輝く広葉樹の中で、松枯れ被害で茶色く変色した松林=16日、上田市東内



伐採した被害木を活用するため安曇野市が市有宿泊施設に導入した「まきボイラー」。浴場や床暖房の熱源にする=18日、同市明科光の「長峰山森林体験交流センター天平の森」




上田市の発注で被害木を1本ずつ伐倒駆除する作業員=16日、上田市東内
 

安曇野市が今年から開始した有人ヘリコプターによる農薬の散布=19日午前5時38分、同市明科東川手



初の有人ヘリコプターによる農薬散布を前に、環境アセス調査をする安曇野市職員らと地域住民。特に貴重な昆虫はいないとした=15日、安曇野市明科東川手の岩州公園



深刻な松枯れ対策として「更新伐事業」に取り組む安曇野市明科七貴の押野山。アカマツを伐採して里山を広葉樹林として再生する=13日

 県内の松枯れ被害が拡大している。新緑が色を濃くするこの時期、里山には変色した被害木の茶色い帯が広がる。県林務部によると、昨年4〜12月の松枯れ被害量は7万522立方メートルで過去最大。県内各地は被害を少しでも食い止めようと、試行錯誤を続けている。

 上田市東内の私有林の急斜面に16日、チェーンソーの音が響いていた。直径50センチ以上もある赤枯れた被害木に作業員が切り込みを入れると、木はメリメリと音を立てながら倒れた。作業員は手際良く幹を長さ1・5メートルほどに切り、枝を切り落としていく。積み上げた木をシートで覆い、薫蒸する薬剤を入れ土を掛けて密封する。

 上田小県地域の昨年4〜12月の松枯れ被害は2万3519立方メートルで県内最大となった。2人1組の作業員が1日に作業できる量は5〜8立方メートル。昨年度は約8300立方メートルを処理したが、上田市森林整備課は「とても追いつかない状態」とする。

 安曇野市では今年から有人ヘリコプターによる農薬の空中散布を開始。19日早朝には同市明科東川手の景勝地「岩州公園」の松林を守るため、約5ヘクタールに農薬を散布した。胴体の脇から突き出た噴霧口から農薬を噴き出しながら上空を往復したヘリは、3分ほどで尾根の向こうに消えた。

 同市では松林を広葉樹林に転換する「更新伐(こうしんばつ)」も進めている。同市明科七貴の押野山から明科南陸郷まで続く私有林では、被害の有無に関係なくアカマツをほぼ全て伐採する。地元住民らでつくる実施委員会と市、森林所有者が協定を結び、2012年度から開始。同市はこの地域だけで200ヘクタールほどを伐採する必要があるとみており、昨年度までに約51ヘクタールを伐採した。伐採後は地域住民の要望も取り入れながら、新たな森作りを進めていく方針だ。

[写真・文 吉沢正志]
 
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