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理想の靴を求めて  須坂の教室 まなざし真剣
(2014年11月17日掲載)
 

古い土蔵を改築した靴作りの工房。壁面の棚にはさまざまなサイズの木型が並ぶ=9月24日




スニーカー作りに挑戦する受講者を指導する柳沢さん(右)=11日




裏地を縫い込まないように針先に集中し、慎重にミシンをかけていく=9月24日




桃畑をイメージした靴にするため、部位ごとにピンクや青、緑など革の色を変えて組み合わせる=9月19日
 

靴作りのだいご味であるつり込み作業。木型に合わせた革を引っ張りながら専用の器具で釘を打ち、靴の形に整えていく=11日、須坂市村山




巻き尺や物差しを手に、理想の靴の型紙を作っていく=6日




「自分で作った靴は最高の履き心地」と完成した靴を履いてみて笑顔があふれる=6日

 トントンと革をたたく金づち音に、工業用ミシンのうなる音―。須坂市村山の柳沢剛司さん(51)主宰の靴工房「クラデアルテ」が開く靴作り教室では、さまざまな音が鳴り響く。そのたびに平らだった革が立体化し、少しずつ靴の形になっていく。受講しているのは「理想の靴」を作りたい人たち。作業中のまなざしは常に真剣だ。

 専用の測定器で足を採寸して作った型紙に沿って革を裁断。甲部分を縫い合わせ、木型で靴の型に整える「つり込み」作業を経て、底を取り付ける。縫い目がいびつだったり表面にしわが寄ったりすることもあるが、「自分で作ったかけがえのない価値に喜びがある」と柳沢さん。いまは北信地域を中心に、佐久市や松本市、新潟県妙高市などから40人が受講中で、初心者向けのコースは婦人用パンプスを20時間で完成させる。

 「まさか靴が手作りできるとは思いませんでした」と、須坂市の主婦坂田洋子さん(61)。長野市の果樹農家中村伴恵さん(41)は「桃畑に広がる青空をイメージしました」と、畑で見た風景の感動を革の色使いで表現した。

 かつて松本市で会社員をしていた柳沢さんは、趣味の革細工を極めようと名古屋市のスクールで製靴技術を身に付け、2011年に独立。2年前に須坂市に移住し、土蔵を改築した靴作り工房を開くと同時に製靴指導も始めた。教室の合間には、リウマチや外反母趾(ぼし)などで苦しむ人たちから依頼された靴も作っている。

 柳沢さんは「足の変形で苦しむ人たちに、より早い対応ができるよう靴の作り手を増やしたい。そんな人たちの個性ある手作り靴店が並ぶ場所ができるのが私の夢なんです」と話している。

[写真・文 宮坂雅紀]
 
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