写真グラフ
 

「究極のアナログ」蓄音機に魅せられて  長野で音楽鑑賞会/南箕輪には収集家
(2015年10月5日掲載)
 

<ホーンの間近で> アサガオのように開いた直径約80センチのホーンを持つ英国製の蓄音機。来場者がレコード演奏の合間に見入る=18日、長野市篠ノ井御幣川の篠ノ井市民会館




松本市時計博物館が開いている蓄音機の演奏が聴ける鑑賞会。市民から寄付された多くのレコードと共に5台の蓄音機が並ぶ=23日、松本市中央1



英国製蓄音機の回転盤に乗せたレコードにそっと針を落とす=18日、長野市篠ノ井御幣川の篠ノ井市民会館



蓄音機などの機器が所狭しと並ぶ五十嵐さん宅=25日、南箕輪村田畑

 

<ワンボックス車で会場入り> 手作りケースに入れ、レコード演奏の会場に運び出される英国製蓄音機の紙製巨大ホーン。ワンボックス車にぎりぎり入る大きさだ=18日、長野市篠ノ井二ツ柳




「博物館まつり」で披露された蓄音機。小さな音を聴こうと、ホーンに耳を近づける来館者=23日、長野市小島田町の市立博物館




依頼された蓄音機を修理する曽根原さん。「蓄音機の修理は趣味だね」=28日、松本市島立


 130年以上前に発明された蓄音機。電気信号を介さず、レコードに落とした針から伝わる振動を増幅させて音を出すシンプルな構造が、「究極のアナログ」として今も音楽ファンを引きつける。個人で収集したり、鑑賞会を開いて多くの人に魅力を広めようと活動するグループもある。

 長野市篠ノ井市民会館で9月18日、直径約80センチの巨大なホーンを持つ蓄音機を使った音楽鑑賞会が開かれた。1930年ごろに英国で約150台だけ生産されたという機種で、長野レコードクラブ会長だった故・渡辺守さん=長野市篠ノ井二ツ柳=が所有していた。鑑賞会は希少な音を多くの人に聞いてほしいという渡辺さんの遺志を会員が継いで初めて開き、参加者は戦前の歌謡曲などに聴き入った。

 9月23日、児童館や福祉施設などで蓄音機による音楽鑑賞会を開いている「昭和100年の会」は、長野市立博物館で開いた「博物館まつり」に3台を持ち込み、訪れた人に音色を披露した。熱心に耳を傾けていた萱津房子さん(65)=同市新諏訪町=は、懐かしい歌謡曲に「涙が出ちゃう」。同会代表の岸田政則さん(67)=同市真島町真島=は15年前から蓄音機を収集しており、「100年前の人たちが聴いていた音がそのまま聴けるのがすごい」と話す。

 上伊那郡南箕輪村田畑の五十嵐清一さん(63)宅には、50台を超える蓄音機などオーディオ機器やレコードがずらり。「当時のレコードは演奏家の全盛期の遺産。蓄音機があれば、それが今、家で聴ける。こんな楽しい趣味はない」

 時計修理店を営む曽根原義勝さん(70)=松本市島立=は、本業の合間に蓄音機の修理を請け負っている。多くはぜんまいや歯車の故障。年に5台ほどが持ち込まれるという。曽根原さんも15台の蓄音機を所有する。依頼がある限り修理を続けるつもりだ。

[写真・文 北沢博臣]
 
写真グラフ 信毎フロント

掲載中の記事・写真・イラストの無断転用を禁じます。
Copyright© 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun