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「ホップ王国信州」復活に懸ける 地元産原料ビール開発へ 栽培の動き
(2016年8月1日掲載)
 

【東御】 ホップを摘み取る参加者たち。夏空の下、県内外から集まった75人が約15キロを収穫した=7月30日、東御市




地元産ホップで仕込んだビールで乾杯する収穫体験の参加者たち=7月30日、東御市





【安曇野】 安曇野市では農家と食品製造会社「エイワ」、市が連携して地元産ビール開発に取り組んでいる。岩手県遠野市から取り寄せ4月に植えた200株のホップは来年から本格的に収穫できる見込みだ=7月27日
 

【山ノ内】 一つ一つ手作業でホップを枝から摘み取る「玉村本店」の従業員。最盛期の8月中旬にはボランティアも頼み30〜40人で作業する=7月21日、山ノ内町



「生仕込み」に向けて、摘みたての生ホップをタンクに入れる「玉村本店」の従業員=7月21日、山ノ内町




【飯田】 2012年から栽培する飯田市の「フィラーレ」が収穫し、乾燥させたホップ。駒ケ根市の「南信州ビール」に醸造を委託している=7月26日

 ビールの香りと苦味の原料となるホップ。県内では1998年に栽培が途絶えたが、戦前は国内の9割以上を生産していたほどの「ホップ王国」だった。地ビールブームもあり、地元産原料によるビール開発などを目指した復活への取り組みが各地で始まっている。

 「ホップに触れられる体験は珍しい。ビールもよりおいしく飲めます」。「OH!LA!HO(オラホ)ビール」を製造・販売する信州東御市振興公社が7月30、31日、市内のホップ畑で開いた収穫祭。神奈川県秦野市の会社員渡辺義純さん(49)は30日、摘み取り体験をしながら汗を拭った。この日は県内外の75人が参加。体験後は近くのレストランで開いた交流会でビールを味わった。収穫したホップで仕込んだビールは9月に販売する。

 「志賀高原ビール」を醸造する「玉村本店」(下高井郡山ノ内町)は、県内ではいち早く2006年からホップの自社栽培に取り掛かった。現在は約25アールで栽培する。乾燥させて使うことが多いホップを、摘みたての生の状態で使うことでフレッシュな香りを出せるという「生仕込み」のビールは「自社栽培ならでは」と専務の佐藤栄吾さん(50)。同社のビール出荷量は3年前に比べ約2倍に増えており、「さらに栽培を増やしていきたい」と話した。

 県内で最も栽培が盛んだった「高水忽布(ほっぷ)農協」(本所・中野市、98年解散)の記念誌によると、県内のホップ収穫量は1939(昭和14)年に235トン余で全国シェアの94%を占めた。64年の845トンをピークに価格の安い海外産に押されて年々減少。県園芸畜産課によると、作付面積が98年にゼロになった。近年は把握していないが、ホップ栽培は県内で少しずつ再開されている。

 安曇野市では本年度から、地元農家10軒で組織する「安曇野産ホップを生産する会」と市内の食品製造会社、市が連携し、「地産ビール」開発に取り組む。駒ケ根市でも地元産原料による地ビール造りを模索。来年度からホップを試験栽培する用地を探している。

[写真・文 有賀史]
 
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