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スポーツ吹き矢 視覚障害者にも  松本の県協会支部 音の出る的試作
(2017年4月24日掲載)
 

指導員が手を添えて音の方向に狙いを定め、力強く一気に矢を吹く=19日、松本市の県松本盲学校




手で触れて分かるように、点字状に破線や実線の突起を付けた的




視覚障害者向けに改良が進む的の裏面。材料はホームセンターでそろえ、会員が手作りした




的の周囲に電子音の出る穴がある視覚障害者向けの的。会員らが聞こえ方を確認した
 

点字ブロック代わりに床に張ったホース。体験者を的まで導く




当たった矢が中心からどれだけ離れているか、的を触って確認する




息を吸いながら矢を込めた筒を上げ、背筋を伸ばしていったん動きを止める。スポーツ吹き矢で必ず行う所作だ

 腹式呼吸により健康増進が期待できることから、中高年を中心に愛好者が増えている「スポーツ吹き矢」。県スポーツ吹矢(ふきや)協会の「松本アルプス支部」(会員約180人、松本市出川)は視覚障害者にも楽しんでもらいたいと、音が出る的の試作に独自に取り組んでいる。

 昨年冬、同支部が松本市旭の障害者就労支援施設「ふれっ手(しゅ)」で視覚障害者向けの体験会を開くことになった際、指導員の間で「音が出る的があればいいな」と声が上がったことがきっかけだ。それ以来、会員が手作業で試作、改良を繰り返した。このほど5台目の的が出来上がった。指導員を務める会員が19日に県松本盲学校(松本市)を訪れ、職員や児童、生徒に体験してもらった。

 特製の的は、「ピッ、ピッ」という電子音が出るブザーを的の周囲4〜6カ所に付けた。ブザーは的の周囲を回るように順番に鳴ったり、自動で音の強弱が変わったりする。今回は矢からの保護と、より正面から聞こえやすいように―とブザーに筒状の部品を装着した。

 体験者は、初めに指導員と一緒に的に触って、大きさや形、得点配置などを確認。床に張った点字ブロック代わりのホースを踏みながら、約6メートルの距離をとった。電子音を発する方向に指導員の介添えを受けて筒先を向け、「フッ」と、短く勢いのある息を吹くと、「パシッ」と心地よい音をたてて矢が的に命中した。

 同校高等部普通科2年の矢沢彩夏さん(16)は、「(的から)離れ過ぎると音が重なって方向が分かりにくいかも。うまく当たったときのこつを覚えてまた挑戦したい」と楽しんでいた。

 同時に複数の的を置くと音が混ざって分かりにくいなどの課題も見つかった。松本アルプス支部の鈴木健一支部長(69)は「視覚障害者の皆さんがより使いやすい的を完成させ、生涯スポーツとしての吹き矢を誰もが楽しめるように広めていきたい」と話している。

[写真・文 宮坂雅紀]
 
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