写真グラフ
 

    炭 盆 (すみぼん)    「長野・信州新町信級特産品に」住民奮闘
(2017年7月24日掲載)
 


関口さんが「小宇宙」と表現する作品。製作から10年を経てシンパク(ミヤマビャクシン)を植えた炭がコケに覆われている(写真左)。 赤いハナザクロの花が彩りを添える浅野さんの作品(写真中央)。 岩場のような形の炭にアセビを配した浅野さんの作品(写真右)



自宅庭先で「師匠」と慕う関口近夫さん(中央)から「炭盆」のアドバイスを受ける浅野知延さん、優美子さん夫妻=19日、長野市信州新町信級



都会の駅ビル出入り口に出店し、足を止めた人たちと会話を弾ませながら「炭盆」を販売する浅野さん(手前左)=3日、横浜市鶴見区のシァル鶴見



関口さんや浅野さんが暮らす長野市信州新町信級地区。山あいの豊かな自然の中から「炭盆」が生み出された=19日
 

関口さん(右)の炭焼き窯から「炭盆」の土台にする炭を運び出す浅野さん=11日、長野市信州新町信級




自宅の庭で「炭盆」を作る浅野さん。地域の山野草などを利用した作品を増やしていきたいという=19日、長野市信州新町信級

 炭を土台に山野草などを植え付けた盆栽「炭盆(すみぼん)」。長野市郊外の山あいの集落で、古くから炭焼きを続ける男性と、地域おこし協力隊として移り住んだ家族が、過疎化が進む地域と都会を結ぶ特産品として売り出そうと取り組んでいる。

 長野市信州新町信級(のぶしな)で昭和30年代から炭焼きを続けている農業、関口近夫さん(82)は、炭を土台にした盆栽を趣味で作り、「炭花(すみはな)」と名付けて知人に贈るなどしていた。

 それに目を留めたのが、昨年6月に地域おこし協力隊員として信州新町地区に着任した浅野知延さん(34)。近くに住む関口さんと交流するうちに、その味わいの深さから「もっと価値があるのではないか」と感じたという。信級ならではの物として都会の人にも知ってもらおうと、名称を「炭盆」と改め、昨年10月に東京・日本橋で長野市などが開いた物産展に関口さんの作品を初めて出品。最高で5800円で売れるなど手応えをつかんだ。

 浅野さんは炭盆を商標として出願するとともに、関口さんを師匠として炭や技術の提供を受け、妻の優美子さん(41)と一緒に製作を始めた。炭盆や信級の暮らしを紹介するウェブサイトも立ち上げたが「売るだけではなく人とのつながりを大切にしたい」と、ネットによる通販は行わず対面販売にこだわる。

 7月上旬の1週間、横浜市鶴見区の駅ビルの出入り口に出店。多くの人が興味深げに足を止めた。3日ほど悩んで、再度訪れ購入した人もいた。訪れた人らから店を出す場所についてアドバイスを受け、連絡先を交換するなど、新たなつながりもできた。今後は月に1回ほど首都圏などに出店して作品を販売する。

 浅野さんは関口さんの炭焼きを手伝いながら技術を学び、ゆくゆくは自分で炭焼きをして炭盆を受け継いでいきたいという。「インテリアとして鑑賞する際に信級を感じてもらえたらうれしい」と浅野さん。「炭盆を知ってもらうことで、都会の人に信級を訪れてもらいたい」と期待している。

[写真・文 吉沢正志]
 
写真グラフ 信毎フロント

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