写真グラフ
 

    愛され傘寿 飯田線  魅力しかない秘境駅 市街地走る住民の足
(2017年8月21日掲載)
 


田本駅(左奥)に到着した「飯田線80周年秘境駅号」から降り立ち、近くのトンネル出入り口の上部から列車や周囲の風景を撮影する乗客=19日、泰阜村



伊那市街地では立ち並ぶ建物の軒先をかすめるように電車が走る区間も=15日



飯田―豊橋間にある全60駅舎を撮った写真展を前に、撮影時の思い出を語る小木曽芳雄さん=14日、飯田市の天龍峡観光案内所



飯田駅前で行った記念式典で、祝賀ムードを盛り上げた高森町の太鼓グループ「心鼓毬彩」の演奏=20日、飯田市
 

秘境駅号で小和田駅に降り立ち、乗務員(右手前)の案内で駅周辺を散策する乗客=19日、浜松市





普段は利用する人も少ない山あいの小和田駅。訪れた人が感想などを書き残すノートに鉄道ファンが目を通していた=13日、浜松市

 豊橋駅(愛知県豊橋市)と辰野駅(上伊那郡辰野町)を結ぶJR飯田線が20日、全通して80周年を迎えた。愛知、静岡、長野3県にまたがる総延長195・7キロ、94駅の長大ローカル線だ。曲線が多く高速化は期待できないが、近年は鉄路以外でたどり着くのが難しく、停車する本数が少ない「秘境駅」ファンの人気を集めている。

 19、20日には、JR東海が豊橋から飯田まで急行「飯田線80周年秘境駅号」を走らせた。途中、秘境駅として知られる為栗(してぐり)(下伊那郡天龍村)や田本(同郡泰阜村)など7駅に停車し、周辺を散策できる臨時列車で、両日とも全席指定の176席は予約で埋まった。

 駅に着くたびに乗客は電車を降り、同社の乗務員の案内で「秘境ぶり」を満喫。鉄道に乗るのが好きという東京都武蔵野市の近賀(きんが)美花さん(34)は「80周年記念だったので乗りたかった。秘境駅は、あまりに何もなくて感動した」と話していた。

 20日は飯田駅前で飯田市主催の80周年記念セレモニーを開催。下伊那郡高森町の太鼓演奏グループ「心鼓毬彩(しんこきゅうあや)」が花を添えた。駅で発売した秘境駅7駅の記念入場券セットを求め100人以上が並び、用意した300セットは1時間ほどで完売した。

 天竜峡駅(飯田市)前にある天龍峡観光案内所では、飯田―豊橋間全60駅舎の写真展を開催中だ。撮影したのは近くに住む小木曽芳雄さん(84)。2010年ごろから撮り歩いたといい、「身近な飯田線の沿線を見て回りたかったから始めた。他県から来た人にも地域を知ってもらうきっかけになれば」。今回は展示していないが、飯田―辰野間も全て撮影済みだ。

 飯田線は1897(明治30)年に豊川鉄道が愛知県内で開通したのが始まりで、長野県内では1909年に伊那電車軌道が辰野―松島(現在の伊那松島・上伊那郡箕輪町)間で開通。その後他区間でも民間4社がそれぞれ線路を延ばし、三信鉄道が37(昭和12)年に大嵐(おおぞれ)―小和田(こわだ)(ともに現在の浜松市)間をつないだことで全通した。43年に全線が国有化され、87年の国鉄分割民営化以降はJR東海が運行している。

[写真・文 梅田拓朗]
 
写真グラフ 信毎フロント

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