写真グラフ
 

ほの明かり低過庵 落ち着く一服  茅野に半分地中の茶室 見学会
(2017年9月18日掲載)
 

屋根を横にずらすと野だての雰囲気を楽しめる仕掛けになっている=17日




真剣な表情で銅板を屋根に取り付ける小学生=8月26日




クレーンでつり上げた茶室を慎重に土台に下ろしていく=8月19日
 

しっくい仕上げの低過庵の内部。屋根を閉じた状態では炉の火やろうそくのわずかな明かりで一服を楽しむ=17日、茅野市宮川




建設途中の低過庵。中央上の樹上にある高過庵と対になる=8月27日




設計図を見ながら話し合う藤森照信さん(右)=8月20日



噴き上がる炎に驚きながら、外壁に使う「焼杉」を加工するワークショップ参加者=8月26日

 茅野市出身の建築史家・建築家の藤森照信さん(70)=東京=が設計した茶室「低過庵(ひくすぎあん)」が完成し、17日に見学会を行った。県内外の幅広い人とワークショップ(参加型講習会、WS)形式で建て、市民らも協力。藤森さん指導の下、建物が半分地下に埋まったように見えるユニークな茶室を造り上げた。

 完成した低過庵は、竪穴住居を思わせるたたずまい。屋根の一部がはね上げ式になった出入り口は背丈の半分ほどで、見学会の参加者は身をかがめて内部へ。はしごを慎重な足取りで1メートル余り降りて、地下のにじり口から5、6人が入れるしっくい仕上げの茶室に入った。銅板ぶきの屋根の上部を横方向に動かせるようになっており、「まず炉の明かりだけで一服、屋根を開ければ青空の下で野だての雰囲気も味わえる」(藤森さん)という仕掛けを楽しんでいた。低過庵は、藤森さんが同市宮川の実家の畑に2004年に建てた高さ6メートルの樹上にある「高過庵(たかすぎあん)」と対になる茶室だ。

 7月23日から8月27日までに開かれた全8回のWSには県内外から延べ114人が参加し、使い慣れない工具を手に熱心に作業した。外壁に使う「焼杉(やきすぎ)」を作る工程では、藤森さんの実演を参考に昔ながらの技法に挑戦。煙突状に組み合わせた3枚の杉板の先から炎が噴き上がると、迫力に歓声が上がった。

 親子向けのWSで、屋根に取り付ける銅板に凹凸をつける作業をした茅野市玉川の富岡直子さん(44)は「藤森さんは発想がユニークでいつも驚かされる。ずっと残るものに関わることができてうれしい」。次女楽(らく)ちゃん(9)は「銅板をたたくのが大変だったけれど面白かった。いつか自分の家を造ってみたい」と笑顔で話した。

 低過庵建築は、茅野市で開催中の「八ケ岳JOMON(縄文)ライフフェスティバル」に合わせてWSで造ることを同市美術館から打診され実現した。10月には見学会も予定している。

 05年から温めていた構想が形になった藤森さんは「高過庵は揺れるので緊張感があったが、土の中の低過庵は安心感があって対比が面白い。中から声が聞こえると、まるで縄文人がいるみたいだ」と完成を喜んでいた。

[写真・文 小西由紀]
 
写真グラフ 信毎フロント

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