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耕作放棄地に「ソルガム」を  長野市や信大 栽培試験や食品への加工研究
(2017年11月20日掲載)
 

長野市七二会の栽培試験地で収穫したソルガムの穂を、乾燥させるために束ねる七二会中学校の生徒たち。生徒たちが地区の取り組みに協力している=10月13日




開発中のソルガムを使ったロールケーキ(右手前)。「信州ソルガム高度活用研究プロジェクト」設立記念シンポジウムで提供され、注目を集めた=6月20日、長野市の信大工学部




さまざまな種類のソルガムの成分を分析している信大工学部の天野良彦教授の研究室
 

講習会で種のまき方を教わる参加者たち。手でまいたり機械を使ったりして、栽培面積に応じた方法を学んだ=5月24日、長野市七二会



長野市中条の畑でソルガムを収穫する長橋公治さん(左)=10月26日



コンバインで脱穀し、キノコ培地に利用するため茎や葉も捨てずに集めた=10日、長野市七二会



「信州ソルガム高度活用研究プロジェクト」設立を記念して開いたシンポジウム。約100人が参加した=6月20日、長野市の信大工学部

 中山間地の耕作放棄地対策に、イネ科の穀物「ソルガム」を活用しようと長野市と信州大が2013年から研究を続けている。今年は県や民間企業などが加わり「信州ソルガム高度活用研究プロジェクト」を設立。栽培試験や食品への加工法の研究を行い、活用策を模索している。

 ソルガムは乾燥に強く成長も早いため、栽培にかかる手間が少ない。実は加工食品などの材料として一部で実用化され、葉や茎はキノコ培地や、発酵させてバイオマス発電の燃料に利用する構想があり、研究が進められている。また、アレルギー原因物質を含まないことから、小麦粉に代わる食料としても注目を集めている。

 長野市や信大は14年から同市七二会地区で農地を借りてソルガムを栽培している。昨年からは生産者を増やそうと、関心を持った市民を対象に講習会を開催。希望者に種を配布し各地でソルガムの栽培が始まった。講習会は4月の座学から始まり、5月の種まきと10月の収穫時にも開き、それぞれ市内外から30〜80人が参加。参加者へのアンケートによると、今年は市内外の12カ所計54アールで栽培された。

 講習会に参加し、出身地の長野市中条にある畑で栽培した同市栗田の長橋公治さん(71)は、種をまいてから1回除草しただけでほとんど手を掛けずに収穫期を迎えたという。テニスコートほどの広さの畑から約50キロの実を収穫し、「こんなにできるとは思わなかった」と驚いた様子。収穫はかなりの重労働で、「1人で片手間にやるのは大変だ」とも感じたという。

 5年目に入った研究では、収量や獣害対策などで品種を当初の四つから二つに絞って栽培試験をしている。実は市内の企業が発泡酒や菓子などの原料にしているほか、同市七二会の女性グループが餅やあられに加工するなど実用化も進んでいる。

 プロジェクトの一員でソルガムの研究を続けている信大工学部の天野良彦教授は「毎年何か課題が出てきては対応してきた。栽培だけでなく、販売先の確立やブランド化、優良なオリジナル品種の開発も必要」と今後を見据えている。

[写真・文 吉沢正志]
 
写真グラフ 信毎フロント

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