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第二の人生は僧侶  千曲の寺に全国から体験入門
(2018年1月22日掲載)
 

冷え込みが厳しい座禅堂で修行する東京国際仏教塾の塾生ら。3月まで月に1回、1泊2日の日程で訪れている=昨年12月2日




境内で草むしりの作務をする禅寺体験入門の直井さん(右)。4日間の入門体験から、得度を目指して専門道場への入門を決意した=昨年11月28日




本堂の拭き掃除をする修行中の檜垣さん。午前4時半に起床し、読経、座禅、作務を行う=9日
 

新年を迎え、本尊を開帳した開眼寺本堂に集まった地区住民らに講話する柴田住職=1日、千曲市八幡



柴田住職(中央)と塾生、修行中の檜垣さん(右手前)らが一緒に昼食。ほぼ無言で、この日はうどんをすすった=昨年12月2日



新年を迎えた開眼寺に本尊のご開帳と参拝に訪れた地区住民ら=1日



般若心経など4種を読経する東京国際仏教塾の塾生。試験も行われる=昨年12月2日

 各地で住職が常駐しない寺「無住寺」が増える中、禅宗のひとつ、臨済宗妙心寺派(京都市)が、人生経験豊かな定年退職者らを対象に「第二の人生を僧侶に」と題した取り組みをしている。提案者で、自らも総合電機メーカーを定年退職後に出家した開眼寺(千曲市八幡)の柴田文啓(ぶんけい)住職(83)のもとには、全国から体験入門者などが集まっている。

 昨年11月末、共済組合職員を勤め上げた埼玉県在住の直井園生(そのお)さん(70)が、3泊4日の禅寺体験で開眼寺にやってきた。「セカンドキャリアで生かしたい」と話し、4日間の体験を通じて、60歳以上のシニア向けに同派が開設した専門道場(兵庫県姫路市)への入門を決めた。

 開眼寺で修行する広島県生まれの檜垣宗善(そうぜん)さん(65)は、通信会社を定年退職後、専門道場で1年間修行し、2016年1月に得度した。住職になる寺が見つかるまでの予定で修行を続けている。

 同派にかかわらず、仏教へのシニア世代の関心は高まっているようだ。宗派を問わず広く仏教を学ぶ東京国際仏教塾(東京・渋谷区)の入塾者もシニア層が多いという。同塾の専門課程で臨済宗コースを選んだ人は開眼寺で修行する。同塾の先輩で「首座(しゅそ)」の松村文圓(ぶんえん)さん(63)=上伊那郡飯島町=が塾生の世話役を務めている縁だ。松村さん自身も、経営する会社を子どもに譲り、僧侶になった。

 柴田住職は01年、13年間空き寺となっていた開眼寺に住職として入った。退職金や寄付、支援などで寺を改修。新たに禅堂も造り、住民が「観音さま」と親しんできた寺を再び集える場に整えた。

 企業のセミナーなどの講師を依頼され、寺で新入社員の研修をすることもある。「第二の人生が大事。お寺を預かるだけでなく、病院などで入院患者の相談に乗る『臨床僧』などは、本来の宗教家として求められる大切な仕事ではないか」とも説く。

 全国におよそ7万5千ある寺院のうち臨済宗妙心寺派は約3400。そのうち1050の寺が無住寺という。柴田住職の提案で12年4月にスタートした「第二の人生」の取り組みではこれまでに約60人が得度し、30人が修行中。しかし、空き寺の増加には追い付いていないという。

[写真・文 毛利英俊]
 
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