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メープルシロップを生かせ  小谷の住民 新たな地域づくり模索
(2018年2月26日掲載)
 

自生するイタヤカエデから樹液を採取する。幹にぶら下げたタンクに樹液がたまる仕組み=21日、小谷村中土




糖度が約65度になるまで煮詰めた樹液。黄金色になり、とろみが出てくる=18日、小谷村の中土観光交流センター




樹液で入れた紅茶を味わう雪上ハイキングの参加者たち。「やさしい甘味がする」と声が上がった=24日、小谷村の栂池高原
 

校舎の裏に自生するイタヤカエデの幹に、ドリルで樹液を採取するための穴を開ける小谷小の児童たち=8日、小谷村千国乙



自分たちで採取した樹液を煮詰める小谷小の6年生。スプーンで味見し「甘ーい」=21日



雪深い里山に分け入り、目印のピンク色のリボンを結んだ木から樹液の入ったタンクを回収する住民=21日、小谷村中土



シロップ加工など樹液の活用方法を話し合う中谷地区の住民たち=18日、小谷村の中土観光交流センター

 北安曇郡小谷村中土の中谷(なかや)地域の住民たちが、山あいに自生するカエデ科の樹木から採れる樹液を新たな「資源」として地域づくりにつなげようと取り組んでいる。

 住民でつくる「中谷地域づくり協議会」の会員が21日、腰まで埋まる雪をかき分けて樹液を回収しに里山に入った。カエデ科の樹木は、厳冬期に凍結を防ぐため幹の内部を糖分を含んだ樹液で満たすとされる。同会は地域内のイタヤカエデなど約30本に、幹に開けた穴から樹液を集めるタンクを設置。1日に1本の木から20リットル以上採取できることもあるといい、会員は樹液が詰まったタンクを慎重に山から下ろした。

 「(樹液を煮詰めた)メープルシロップをかけたパンケーキを売り出したら」「樹液採取ツアーを開いては」―。同会の会合では、樹液の活用法を巡ってさまざまな案が挙がった。2016年に取り組みを始め、検討や試作が続いている。同会会員の小林守男さん(82)は「これまでカエデはまきや炭の材料にしか利用されていなかったが、樹液で新たな村の魅力を伝えるものを作りたい」と意気込む。

 同村の小谷小学校も身近なカエデを教材にして、地元の森林資源に目を向けることを目的に、総合的な学習の時間で樹液について学んでいる。21日は校舎の裏に自生するイタヤカエデから採取した樹液を煮詰め、メープルシロップを作る授業を行った。6年の深沢愛花(まなか)さん(12)は糖度22度ほどまで煮詰めた樹液を味見すると、「甘ーい」と目を丸くした。「焼き芋みたいな味で甘くていい香り。学校の裏に樹液が採れる木があるとは知らなかった」と興味を持った様子だった。

 同村で自然体験活動を企画する「おたり自然学校」は、村内の栂池高原で樹液で入れた紅茶を楽しめる「雪上ハイキング」を開いている。24日に参加した4人は、ガイドの大日方冬樹さん(30)にイタヤカエデの生態や中谷地域での取り組みの説明を受けながら散策。石川県能美市から訪れ、水を使わず樹液だけで煮出した紅茶を味わった長(ちょう)悟志さん(35)は「木の香りがほのかにして、すっきりした甘みが良い」。スキーを目的に同村を訪れたが「こんな楽しみ方もできるんだ」と喜んでいた。

[写真・文 林克樹]
 
写真グラフ 信毎フロント

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