写真グラフ
 

県信濃美術館で大胆アート体験
(2018年3月26日掲載)
 

千田さん(中央)に教わりながら糸を張るワークショップの参加者=11日



光を反射させるために展示室の床に水をまく千田さん=24日



取り壊し前の最後の催しが始まった県信濃美術館。一般公開初日から多くの人が足を運んだ=24日



魚型のしょうゆ差しの中に、質問の答えを書いた色紙を入れる児童たち=9日、長野市の吉田小学校
 

展示室にナイロン糸を張り巡らせて照明に浮かび上がらせる千田さんの作品。通常は美術品を飾るガラスケース(左)の中からも鑑賞できる=24日、長野市の県信濃美術館




天井に張ったネットから魚型のしょうゆ差しをつり下げる「three」のメンバー。来館者が興味深そうに見守った=15日




魚型のしょうゆ差しを取り外す来館者=24日

 全面改装のため休館中の県信濃美術館(長野市)で、取り壊し前の最後の催し「アーティスト・イン・レジデンス」の一般公開が24日に始まった。公募で選ばれた2組の芸術家が滞在し、23日まで約3週間、制作過程を公開。展示室の床に水をまいたり、来館者を展示用のガラスケースの中に入れたりといった試みについて、同館の担当者は「通常の展示ではありえない」と評する。ワークショップ(WS、参加型講習会)などを通して多くの来館者が制作にも関わった。

 神奈川県出身で北安曇郡池田町に移住した千田泰広さん(40)は、空間全体を舞台にする表現技法「インスタレーション」を手掛ける。広さ約400平方メートルの第一展示室に張り巡らせたナイロン糸を、発光ダイオード(LED)のライトで浮かび上がらせる幻想的な作品に取り組んだ。制作を見に訪れた来館者も、千田さんに教わりながら糸を張った。「芸術の種をまくことにつながればうれしい」と千田さん。24日朝、光を反射させるために床に水をまいて完成させた。

 福島県を拠点に活動する川崎弘紀さん(31)ら男性3人組の「three(スリー)」が制作したのは、天井から約5200個の魚型のしょうゆ差しをつるす作品。しょうゆ差しには色紙が収められており、「最近笑った出来事は」「家の中で隠れたい場所は」といった質問に、地元の小学生やWSの参加者が答えた内容が書かれている。来館者は取り外して持ち帰り、書き込みを楽しむことができる。WSに参加した北安曇郡松川村の木元健聖君(8)は「自分が書いた紙を誰かが持っていってくれるとうれしい」と話していた。

 県と長野市は、2021年度の新美術館開館を目指し、建て替えと城山公園噴水広場の再整備を進める計画で、現在の美術館は52年の歴史に幕を閉じる。一般公開は31日までの午前9時〜午後5時。水曜休館。入場無料。

[写真・文 小西由紀]
 
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