■社会面で好評連載■次々に建設されるマンション、増加する人口、拡大するアウトレットモール…。軽井沢町が膨張を続けています。猿や熊も里に出没し、混乱を招いています。宣教師アレクサンダー・クロフト・ショーが最初の別荘を建ててから120年がたった軽井沢のいまを多角的にルポし、リゾートや地域のあり方を考えようと、2008年1月から6月まで、7部構成で計50回、連載しました。 |
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<プロローグ>日本を代表するリゾート・北佐久郡軽井沢町が膨張を続けている。大規模な別荘分譲、マンション建設が相次ぎ、人口は右肩上がりだ。新幹線駅近くの商業施設は店舗が増え、人が押し寄せる。町財政は潤い、この三十年以上も、国から地方交付税をもらわずに済んでいる。だが、開発は木々を減らす。猿や熊が里に出没する。にぎわいは避暑地の静けさに水を差す。軽井沢は今年、自然や風土を愛した宣教師A・C・ショーが最初の別荘を建ててから百二十年。膨張はどこまで続くのだろう。人、物、カネが集まるこの地から、地域のありようを考えたい。(2008年1月1日〜1月3日掲載) <第1部 開発のゆくえ>軽井沢町では大規模な別荘分譲が続き、マンションも建設ラッシュ。「ミニバブル」と言える状況にあるが、ほころびも見え隠れする。東京などの豊富な資金は町へどう押し寄せ、どこまで勢いが続くのか―。第一部は開発の現場を探る。(2008年1月22日〜1月28日掲載) <第2部 ブランドの街>人々は、「軽井沢」という呼び名に「ほかの地とは別格」というブランドイメージを抱き、買い物や結婚式、旅行をする場所として選ぶ。受け入れる側はにぎわいが続くよう、サービスに知恵を絞る。いま、イメージと実態は合っているのだろうか。第二部は「ブランドの街」を見る。(2008年2月22日〜3月1日掲載) <第3部 暮らしの実像>買い物や避暑に訪れる人たちでにぎわい、華やかなイメージのある軽井沢町。だが、住民からは「暮らしにくい」という声も少なくない。「新旧」住民の考え方の違いがぶつかる場面もある。第三部は、暮らしの実像を浮かび上がらせたい。(2008年4月3日〜4月10日掲載) <第4部 森からの警告>地球温暖化の波は、軽井沢町も例外ではない。自然界の異変は、熊や猿といった野生動物が住宅地を荒らすことにも表れている。昨秋の台風では、根付きの悪い木々がなぎ倒された。第四部は森から発せられている警告に耳を傾けたい。(2008年5月3日〜5月9日掲載) <第5部 見つめ直す個性>「軽井沢らしさ」「軽井沢が大事にするべき価値」とはどんなことなのだろう。積み重ねられてきた歴史を踏まえながら考えたい。(2008年6月3日〜6月11日掲載) <第6部 南ドイツの高原から>ドイツの最南端、ヨーロッパアルプスのふもとにあるオーバーストドルフ市。中心部への車の入り込みを規制し、景観形成のためのきめ細かいルールを作るなど独自の取り組みを続け、国内有数の高原リゾートとして親しまれている。六月十四、十五日に軽井沢町で開かれる「国際景観会議」で同市の前市長が講演するのを前に、六月上旬、現地を訪ねた。第六部は、同市と周辺の現状を報告する。(2008年6月13日〜6月17日掲載) <第7部 リゾートの未来>時代の波に乗って発展してきたものの、これから進もうとする道が見えにくくなっている軽井沢町。そこには、ほかのリゾートや地方のまちづくりと共通する課題も見える。連載を締めくくる第7部は、国内有数のリゾート・軽井沢が未来図を描くために、どんな視座を持っておくべきなのかを考えたい。(2008年6月23日〜6月28日掲載) |
屋根のない病院
軽井沢町誌などによると、ショーは英国領カナダ生まれ。1873(明治6)年に来日した。東京の福沢諭吉宅に下宿し、慶応義塾で倫理学を教えた。86年の夏、布教のため日本海へ向かう途中、軽井沢を初めて訪問。親の母国、スコットランドに似た高原の冷涼な気候や緑豊かな森林などに感動したという。翌年も訪問。さらに88年、民家を移転改造し、旧軽井沢の大塚(だいづか)山に別荘を建てた。42歳のときだった。 1956(昭和31)年、ショーの長男は当時の軽井沢町長にあてた手紙で、父親と訪れた軽井沢について「胸いっぱいに吸った空気の甘さは、軽井沢以外では知らない。父が家族の健康のために選んだことをうれしく思う。軽井沢は天国だった」と記した。 ショーは東京の自宅で56歳の生涯を閉じた。別荘はその後、軽井沢教会付属幼稚園として利用。旧軽区民らの有志が86年、旧軽のショー記念礼拝堂の裏に移築した。現在は町が「ショーハウス」として冬季を除き一般公開している。 2000年からは、町民有志が現地で「ショー祭」を開催。ショーをはじめ先人たちが軽井沢に描いた夢に、思いをはせている |