TOP2017年03月昨年は凶作?

昨年は凶作?

3月
09

 昨年(2016年)の全国のソバ収穫量等が、先日発表された。収穫量は、前年産に比べ18%減少だという。(農林水産統計、「平成28年産そばの作付面積及び収穫量」平成29年2月14日公表)

 概要では、作付面積が6万600haで、前年比2400haの増加。10a当たり収量は47kgで、前年比22%下回った。収穫量では2万8500tで、前年比6300t(18%)減少、という。栽培面積が増えたのに収穫量が減ったのは、多雨や台風被害が大きかったとされる。
 
 <表1> 参照

 全国的には、作付面積が増えたのに収穫量がかなり減っている。いわば「凶作」の部類に入りそうだ。傾向とすれば、北海道の大幅な減収が響いている。季節外れの台風がいくつも直撃した結果であろう。東北地方はほぼ平年並みだったようだ。北陸と関東東山が総体的に悪かった。

 長野県も24%の減収だった、2015年は全国2位だったのだが、昨年は4位になってしまった。単収が大きく減ったのである。

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 北海道のソバがかなり減収だろうという予測が早くから出ていたためか、昨年は9月になっても、「新そば」「新そば」という掛け声が小さかったような気がする。そば屋の貼り紙も目立たなかった。

 長野県内の各地の新そば祭りなどでは、味のバラツキが目立った。びっくりするほど美味しい蕎麦に当たることがあったが、これが新そば?と疑いたくなる場合も多かった。もしかしたら、地粉が足りないケースもあったのでは、と推測している。

 豊作の時より凶作とか不作の時の方が美味しい新そばにありつける例は、いままでいくつか経験してきたが、最近は傾向が変わってきたのかもしれない...。凶作であれ、契約した量を農協や業者へ出荷すると、地元で使える材料が減る。足りない分を他の産地から(外国産も含めて)調達する場合もあったことだろう。食べ歩きを重ねてみて、そんな雰囲気を時折感じたのだったが。(こうした傾向について、私と似たような分析をしている新聞記事を見かけたこともある...)。

 市町村別の収穫量は、もう少し先に発表されるというが、その結果を見れば、地域別の豊凶がはっきりするだろう。

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 農水省の発表資料には、毎年のことだが、「累年データ」として近年のソバの収穫量の推移等が、「関連データ」として輸入量の推移が表示されている。これ等を簡単な一覧表にしてみた。

 輸入量では国別の区分も示される。近年は米国産が増えているようである。米国産は、品質がかなり良好だと言われる。価格もいくらかいいらしい。そして「玄そば(抜き実)輸入量」が相当多いのが目立つ。これは全量、中国からのもの。依然として、中国産が最大の輸入実績を続けている。

 <表2>参照

 注釈によれば、「玄そばから抜き実への重量の換算率は75.9%が使用されることが多い。」とされる。この換算率によって、抜き実を殻付き玄そばに見立てた量を加えて、輸入玄そば全体としてカウントしてみたのが右端の数字である。これにより、年度ごとの大まかな輸入比率を推定出来る。なお、輸入そばの中には粉もあると聞いたことがあるが、実態はよくわからない。

 一方で、中国産も含めて、玄そばの品質がかなり向上した、という話も聞く。加工、保管、輸送などが相当に改善したのだろうか。数量も含めて、国内産と外国産の競争が、従来より激しくなってきたような傾向である...。

 そして近年、食品の産地表示が厳密に行なう方向になってきた。ソバについても変化が見られて、昨年などは、大手流通業者が北海道産のソバ粉を大量に買い入れたので、新そばの情勢が狂ってしまったと言われる。つまり、国内産の表示がしにくくなってきたのだろう。

 お米では、産地偽装がよく問題にされる。DNA鑑定による不正表示の告発なども時々聞こえる。ソバの場合、そんなDNA鑑定も含めた産地推定が、どれだけ普及しているのか、まだニュースは聞こえてこないが...。

 こうした傾向を引き継いで、2017年は、長野県下でもソバ栽培が改めて見直しされているようである。特に、昨年収量が悪かった地域では、真剣に増産のための方策が練られているという。粉屋、そば屋、製麺会社などで、良質な玄そばを確保することが、味と信用に大きく影響する事態になってきたらしい。栽培から消費まで、今年の蕎麦の動向を注視していきたい。

2017年3月 9日掲載

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