TOP2017年11月新そばの傾向

新そばの傾向

11月
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 10月から11月にかけて、信州各地で「そば祭り」が開催されている。多くは「新そば」をうたっており、どこも盛況のようである。私もいくつかのぞいて、今年の新そばの傾向をさぐってみた。少し前の花の時期には、盛んに咲いている地域がほとんどで、豊作が期待出来る、と笑顔で応じる農家が多かったのだが。

 「新そば祭り」と銘打った会場で、今年のソバの出来はどうか、と聞いて見ると、どうやらあまり良くないような話が多かった。長野県全域ではないが、少なくとも北部地域では、かなり悪いようだった。あれまあ、今年も冴えないか、とがっかり。

 とはいえ、そば処や産地で提供された「新そば」は、割と美味しい傾向だった。抜群にいい、という蕎麦はほとんど無かったが。

 ある中信地方のそば処では、毎年すごく美味しく食べられる民宿が、今年は少し物足りなかった。10月中旬のことである。おかしいな、と周囲の畑を見て歩いたら、収穫したばかりの田んぼにコンバインのタイヤ跡がくっきり残る場所があり、また、時期を過ぎてまだ刈られてない田畑も見かけた。だいぶこぼれてしまうだろうなあ、と通りがかりながら気になるような状態が、混在していた。少し雨が続いた時期だったので、刈り入れのタイミングがズレたのだろうか...。

 種蒔きのころの雨は、成育に影響を与える。そこから調子がよくなかったという話はいくつか聞いた。収穫期の雨も当然、稔りや品質に影響する...。じっさい、近くの別の民宿で聞くと、相当に狂いがあったようだ。早刈りの畑はよかったが、雨にたたられてしまった家も多かったらしい...。

 別の新興のそば処の新そば祭りでは、地元のソバの出来は例年の4分の1くらいだった、と小声で教えてくれた。たしかに、食べた蕎麦は不味いわけではなかったが、新そばの迫力は前年に比べて劣っていた...。

     ☆

 北信濃方面では、各地で相当な凶作だ、と聞いた。稔って刈る時期に秋雨前線や台風の雨などで、刈りそこねた農家も多かったらしい。もちろん、場所により、順調に収穫出来た人もあったことだろう。

 味の方はと言えば、去年より良くない、という地域が多かった。いや、去年よりずっと美味しい北信の産地にも当たったものだが。

 その年のソバの出来は、予測するのがむずかしい。それでも、「新そば祭り」と称して早くからスケジュールを組み、準備してきた農家や関係者は、美味しい蕎麦を提供するべく大いに努力してくれていることと思う。

     ☆

 雨の被害が比較的少なかったはずの東信のそば処でも、新そばらしいねばり、伸びのある麺が出来ていた。香りやうまみはイマイチで、これは技術も関係するのかもしれなかった。条件のよくない中でがんばっているのはわかるのだが...。

 広い面積で自家栽培をしているチェーン店の畑も、出来はイマイチに見えた。少し早めにコンバインで刈った畑には、こぼれた種から、もう小さな芽が出ていたり...。栽培の現場の苦労は、あまり表に出ないが、毎年、たいへんなものがあるように思う。

     ☆

 早くから信州にも出まわった北海道の新そばは、割と順調に収穫出来たようだ、と聞く。味が少しあっさりしている傾向だ、とも教えてもらった。

 比較して、信州の地粉の蕎麦は、どうやら、強い香りや旨みは少ない傾向だった。しかし深みのある、伸びのある味わいは、さすが新そばだ、と納得出来るような気がする。そんな雰囲気を時々感じたものだった。

 全体の収穫量も少ない傾向だが、これはもう少し様子を見なければわからない。県全体の量は1月か2月に発表される。市町村別は4月あたりの発表だ。本州で不作となれば、北海道ものから、外国産も多く出まわることになりそうだが。

 これから本格的に美味しくなる新そばも多いことだろう。まだまだ楽しみが続く...。

2017年11月10日掲載

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