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そば屋の地図

12月
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 今秋も、そば祭りなどであちこちの蕎麦を食べ歩いた。そんな時に、市町村の観光案内所などに寄って、そば屋の情報を聞くことが多かった。

 そこで市町村ごとの、そば屋の地図があればもらってくる。新しいそば屋が出来ていれば、次回はそこへ食べに行ってみようか、と計画する場合もある。それでつい、市町村のそば屋地図の出来ぐあいを比較することになる。よく出来ているものがあり、手抜きしたものもあり、いろいろだ。

 数年前のこと、北信のある町でもらったそば屋地図。よく見ると、評判の駅そばが載っていない。けっこう旨いのに...。観光案内所で聞いてみたら、この地図は、「手打ち」の店だけを扱っているのだという。あれまあ、と不思議な気がした。

 今年は、イベントの折に訪ねたら、駅の職員が観光客に、その駅そばをしきりに勧めていた、当然のことだが。家に帰って、観光地図で見たら、その駅そばは載っていない。載せる方針は同じなのだろうか。

 しかし、その日に食べた駅前の有名店は、表に「手打ち」と幟が立っていたが、どうも機械を相当に使っている感じだった。「手打ち」だとしたら、かなり不味い方なのだ。観光で来る人には、目の前のそば屋の蕎麦を、「信州そば」として食べるのが普通だろう。その味が当たりになるか、外れになるかは、運しだい、が多いと思う。

 だとすれば、立ち食いのような安い駅そばが美味しいのは、いい宣伝になるだろう。逆に「手打ち」と称して不味い蕎麦だったら、そこの地域全体を、おとしめてしまうのでは...などと余計なことを思ってしまったのだが。

 同じように、北信の新しい駅の立ち食い蕎麦もかなり美味しい。たぶん、この町の蕎麦の味を、平均して上手に宣伝しているような気がしたのだった。

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 中信のある村の場合。そば祭りをやっている、と聞いていたので、通りがかりに観光案内所に寄って、そば屋地図をもらった。しかしそば祭りのチラシは無かった。窓口の係員に聞くと、全村にチラシを撒いたので、ここにはもう置いてないのだという。珍しい事もあるもの。イベントの紹介は長野県の一覧表に載っていたと思ったのだが。村内だけで小じんまりとやっているのだろうか。

 その係員にそば屋のことを聞くと、以前の私の記憶と一致する店もあったが、旨いかどうかの意見が違う店もあった。長い年月の中で、味も変わっていく場合があるので、違いはあって当然だが。様子をうかがうと、観光の窓口の人が、地元の蕎麦をあまり食べていないかな、と感じることがある。この村の場合もそうで、どうやら、人に聞いた評判を主に判断基準にしているらしかった。

 県内ではどこでも、観光の窓口で、観光客によく、「美味しいそば屋を教えて下さい」と聞かれるらしい。答えには苦労するようだが、どうしても片寄りが出る。そのへんで、観光客に満足してもらえるように誘導すると、評判がよくなるはず。...しかし、総合的に美味しいそば屋がそろっている地域は稀なので、いわく言いがたしの紹介になってしまうようだ。

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 東信でも、飲食店やそば屋の地図を作る市町村が増えた。それでも、先日たずねたある町のイベントで、そば屋の情報を聞いたが、パンフも無かったし、どこで食べられるか、開店しているかどうかの情報もなかなかわからなかった。それなりに観光には力を入れていて、ソバの新しい品種を売り出すべく、関係者は頑張っているらしかったのだが。

 そこのイベントは、それなりににぎわっていたが、町内の別の観光地は訪れる人も少なく、閑散としていた。イベントの中味は、観光地の担当者もほとんど知らなかった。そば屋のことを聞いても、キョトンとしているだけ。町民全体に、そば屋もイベントも広まっていないようだった。

 そこへいくと、上田市などは早くからそば屋の一覧表と大きな地図を作って、あちこちに置いてある。ちゃんと発行年月を入れて、時々更新している。観光の係が、それなりに蕎麦、そば屋に関心があるのがわかる...。

 そば屋地図が充実して、どこでも見られるようになっていれば、地元住民の関心が高まり、それなりに蕎麦のレベルが上がっていくような気がするのだが。

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 伊那谷や木曽地方では、そば屋が少ないせいか、そば屋地図(飲食店地図に含む場合もあるが)は、割ときちんと全部載せようとしているものが多い。そうした、行政も含めた地元の盛り上がりは、長い目で見れば、その地がそば処として成長していくのに欠かせないはず。伊那市や飯島町は、そのいい例と言えるのではないか。打ち手の増加とともに、蕎麦好きの住民が増え、食べる方のレベルが上がるとなおいいのだが。

 また、栽培が増え、優秀な玄ソバが供給出来ること、あるいは乾麺や生麺の業者のレベルも、だんだん上がっていくといい。地元の盛り上がりが、大きなカギになるような気がする。

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 蕎麦をたくさん食べる、またそば屋が多い、いわば信州の中では一番盛んな長野市の場合、そば屋地図は複雑だ。

 長野市は毎年、いくつかの蕎麦イベントが開かれる。その情報は「長野そば歳時記」として、新聞などで広く宣伝する。その中で、長野市のそば屋の一覧が地図入りで作られる。その地図を見るたびに、どうして市南部の方の紹介が無いのだろう、と疑問に感じる。

 というのは、地図を作る関係なのか、毎度、決まった地域、グループを載せるのが当たり前になっているらしいのだ。南部の方にも、松代や川中島という観光地があり、篠ノ井という大きな地区もある。そこのそば屋がすっぽり抜けてしまっている。

 市役所、商工会議所、商工会、そば屋組合などの勢力関係で、そんな事態になっているらしいのだが。住民としてみれば、相当に不公平に感じることがある。本来、市民全体で蕎麦の味や品質の向上につとめるべきなのに、一部だけの宣伝に終始しているのが、不思議でしょうがない。

 もっとも、県下でも、同じような現象が、あちこちであるような気がする。信州そばについての関心、知識など、もっと深めて欲しいのだが、関係者の手抜きぐあいが気になる...。

     ☆

 市町村ごとの観光パンフは、鉄道の駅によく観光案内所が設けてあることが多いので、積極的に利用するといいだろう。旨いそば屋の情報が得られることもある(片寄りがあるので、全面的に信用は出来ないのだが)。

 車だったら、各地の道の駅にパンフが置いてある。道の駅は本来、近辺の市町村の資料もそろえることになっている。そうした情報発信の場なのだが、場所によって濃淡の違いがある。長野県では、中南信地域の道の駅は比較的充実しているように思う。

 なお、長野県庁1階の信州観光情報センターには、県下の各市町村の観光パンフが集めてある。中にそば屋地図を一緒に置いてあることが多い、ついでの折にでも、のぞいてみてはいかが。

2017年12月13日掲載

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