TOP2018年06月もう"夏のそば"?

 今年は季節の進み方が早い。春先から急に暑くなり、また寒さがぶり返し...と不安定な天候が続いた。気づいてみれば、もう初夏の陽気だ。そんな気候のせいばかりではないだろうが、信州でも、蕎麦の味がもう、「夏の蕎麦」になってきたような気がする。

 例年、5月になれば、「夏の蕎麦」の気配が強くなる。今年もそれはあったが、どうも店によってバラツキが大きいように思った。

 たとえば、長野市郊外の割と有名な店で。いつも地元でとれるソバ粉で打ち、季節が移っても、あまり味に変化がないのだが、5月末に久しぶりに訪ねたら、味がイマイチだった。珍しいことだった。姿はしっかりしているし、ひどく悪いわけではない。それでも、もう端境期の粉になったのかしら、という味だった。

 そういえば、町なかのそば屋でも、そんな味にぶつかることがある。いつもより味わいが物足りなくなり、おや?と思う店にいくつも出会った。

 その原因の1つに、昨年のソバの出来が関係しているように思う。信州各地のソバの品質が、少し怪しくなっていたように感じていたのが、夏を迎える時期になって目立ち始めたのかもしれない。

 ...こんな時こそ、そば打ち職人の腕の見せどころではないか、と思うこともある。つまり、ソバ粉の品質を見極めて、粉に合った打ち方、一番旨い味を引き出せる技術である。

 そんな"技術"のことで言えば、あまり強く旨さを感じない蕎麦が、食べ終わるまで、割と気分よく食べ続けられる店もある。そんな時に、目立たないけれど、ここの職人の腕は大したものだ、と思うことがある...。

 逆に言えば、最初の一口、二口はなかなか美味しいのだが、食べ進むうちに味が平凡になり、食べ終わるころには、大盛りでないのに持て余してしまう蕎麦というものもある。材料の良さだけに頼っていると、そうしたことになりかねないのだろうか...。

2018年6月 6日掲載

前の記事  サイトトップに戻る 

著者プロフィール