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2010 長野県知事選

 夏の知事選に向け、新人擁立を目指す複数の動きが表面化してきた。県民有志が、元副知事で3月まで政府の行政刷新会議事務局次長を務めた阿部守一氏(49)=横浜市=を招いて意見交換を始めた一方、経済人らの別のグループは県信濃美術館(長野市)館長の松本猛氏(58)=安曇野市=に立候補を打診。いずれも出馬意思を固めるには至っていないものの、政党側もこうした動きに関心を示す。再選出馬に意欲的との見方が強い現職の村井仁氏(73)の去就表明のタイミングも展開を左右しそうだ。

<阿部守一氏招き講演会 松本猛氏に出馬打診も>

 「話を聞くと、ちょっと戻りすぎという部分があるのかなと思う」

 上高井郡小布施町で3日、阿部氏を迎えて開いた講演会。参加者から村井県政への見解を聞かれた同氏は、県民との距離感などを念頭に、県政の「後戻り」を指摘した。

 田中県政の副知事を2004年に退任後、総務省過疎対策室長、横浜市副市長、行政刷新会議事務局次長などを務めた阿部氏。刷新会議では事業仕分けにも携わった。

 昨年末以降、松本市や長野市などの県民有志二十数人が知事選を視野に、同氏を招いて勉強会や講演会を開催。阿部氏自身も首長経験者や経済人らとの意見交換を重ねる。知事選についてはコメントを避けつつ「地方自治の現場に身を置きたい気持ちはある」とも話している。

 阿部氏に近い松本市内の男性は「主義主張はさまざまだが、長野県を再び変革したいとの考えは共通。こうした声を結集したい」とする。

 一方、前回知事選で田中康夫前知事を推し、昨秋の長野市長選ではザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー元日本支社長の高野登氏(56)擁立にかかわった長野市の企業経営者らも、知事選候補擁立を模索している。

 その1人が、信濃美術館長や安曇野ちひろ美術館(北安曇郡松川村)館長を務める松本氏。絵本画家のいわさきちひろさんと松本善明・元衆院議員の長男でもある。

 猛氏は10日、3月ごろに知事選出馬の打診を受けた―とした上で「そんな簡単に考えられることじゃない。今の時点ではまったく白紙だ」と強調した。グループ側は働き掛けを強める構えだ。

 これに対し、高野氏擁立にかかわった長野市民有志らの間では、現職にわずかな差で敗れた長野市長選の結果も踏まえ、知事選への「再挑戦」に期待する声もある。ただ、高野氏自身は「県知事や国会議員には針が動かない」と否定的だ。

 県民有志が候補擁立を探る動きに対し、政党側も関心を寄せる。共産党県委員会や県労連などでつくる「明るい県政をつくる県民の会」は3月中旬、県政の転換を目指し、村井県政に距離を置く県民らと幅広く連携する方針を確認。阿部氏、松本氏を推す関係者との接触も続けている。

 知事選に独自候補擁立を目指すとする民主党県連は、参院選県区(改選定数2)で党本部主導による2人目の擁立が決まり、選挙態勢づくりなどに腐心。県連内には「知事選は県民の間から村井氏への対立候補が推されてくるのを待って検討した方がいい」との声も出ている。

   ◇

 「まだ5カ月と少し任期を残している私としては、今は何も言う気はありません」

 3月26日の定例知事会見。知事選に向け、県政のリーダー像に関する質問を受けた村井氏は、慎重すぎるほど慎重な受け答えに徹した。

 8月末に1期目の任期を満了する村井氏。医師確保対策や県営松本空港(松本市)へのフジドリームエアラインズ誘致など課題の解決に取り組み、前県政との「対立軸」の象徴だった県営浅川ダム(長野市)の09年度内着工に踏み切るなど、自らの県政運営に自信を深めているとされる。だが、去就については一貫して明言していない。

 知事周辺からは当初「態度表明は6月県会で十分」といった見方も出ていた。ただ、ここへ来て新人候補擁立の動きが具体化してきたこともあり、最大会派で知事を支持する自民党県議団や同党県連内からは「6月では遅すぎる」として、早期の表明を促す声も出始めている。

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