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2010 長野県知事選

 8月8日投開票の知事選に向け、元副知事の阿部守一氏(49)=松本市=が27日、正式に名乗りを上げた。4月に出馬表明した前県信濃美術館長の松本猛氏(59)=安曇野市=はこの日、松本市内で事務所開きを行い、準備を加速させる構えを見せる。新人2氏の「対立軸」は今後、どう定まっていくのか。村井仁知事(73)の引退表明を受け、自民党県議団が模索する後継候補擁立の行方は―。知事選は7月22日の告示日まで2カ月を切った。

<阿部氏 刷新会議の経験、前面に>

 「行政と国民との意識が著しくかけ離れている現実を目の当たりにした」

 27日、県庁での出馬会見で行政刷新会議事務局次長時代をこう振り返った阿部氏。「縦割りの壁を乗り越え、県民と一緒に悩み、考え、行動したい」とし、「県民目線」で県版の事業仕分けに取り組む考えを強調した。

 総務官僚、田中県政での副知事、中田宏前市長の下での横浜市副市長...。さまざまな経歴を重ねてきた阿部氏だが、この日は専ら、行政刷新会議での経験を前面に打ち出す姿が目立った。

 陣営には、総務省出身の阿部氏に対する「官僚批判」を懸念する声がある。24日の連合長野との懇談では、県職員労働組合の幹部から、田中県政時代の「総括」をするよう迫られる場面もあった。

 会見で阿部氏は田中前県政が進めた改革について「失敗に終わった」と明言。「過去のイメージを払拭(ふっしょく)し、新しい姿をアピールしたい思いがあった」と周辺は明かす。

 一方でこの日、阿部氏は村井県政についての評価には踏み込まなかった。現県政の経済対策については「詳細を把握していない」。浅川ダム(長野市)についても「県民に説明責任を果たせるよう判断していく」とするにとどめた。

 政党や団体の枠組みには「こだわらない」とした阿部氏。田中県政での「対立構造」から抜け出し、幅広い支援を得たい思惑がのぞく。

<松本氏 縦割り行政の廃止、強調>

 「生き生きとした子どもたちを長野県から生み出していきたい。その子たちの力によって県の未来は開かれる」。松本氏は27日の後援会事務所開きで、知事選に向けた意欲をあらためて語った。

 4月下旬の立候補表明後、子どもたちを地域で育てる教育の仕組みづくりや、「日本一の観光県」を目指すことなどを柱とする政策づくりを進める松本氏。陣営は、同氏が安曇野ちひろ美術館(北安曇郡松川村)の運営に取り組んできた実績や民間的な発想を重視する。松本氏自身も「行政の縦割りではなく、異なる分野を結び付けて考えることが重要だ」と話す。

 一方、県政への見方は阿部氏と通じる部分もある。村井県政について「官僚的な風土に支配されている」と批判する半面、「経済活性化や、松本空港路線の存続など課題に対処してきた」点は評価。田中県政は「脱ダムの理念や県政への関心を高めた点」を指摘しつつ「市町村長や議員の言葉を聞くのを拒否したのは失敗」と距離も置く。

 出馬表明から約1カ月。支持者の間には、具体的な政策が明確になっていないと懸念する声もある。当初5月中としていた政策発表は6月にずれ込む見通し。陣営は松本氏らしい発想を示し、県民に訴えかけたい―ともくろむ。

<自民 「第3の候補」模索続く>

 村井知事の引退表明を受け、「後継」擁立の可能性を探る自民党県議団。平野成基団長は、この日出馬を正式表明した阿部氏を「研究の対象には入る」と説明。ただ、「残された時間は少ないが、まずはわれわれに、より考え方が近い『第3の候補』を探すのが先だ」と強調した。

 党県議団は18日、団会議で知事選対応を協議。会議後に平野団長は、経済・雇用対策を中心に政策面で村井県政の路線を継承することを「判断基準」に挙げた。

 同党県議の一人は、会見で阿部氏が浅川ダムなど村井県政の個別政策に明確な判断を示さなかった点を挙げ「もっと踏み込まないと、乗ることはできない」と漏らす。

 「第3の候補」は出るのか―。2000年10月から01年3月にかけて田中前知事の特別秘書を務め、現在は都内の外資系企業部長の杉原佳尭氏(44)は、一部の同党県議らと連絡を取っており、取材に「支援の枠組みができるなら、前向きに考えたい」と意欲を示している。ただ、県議団が同氏でまとまる状況にはなっておらず、当面は模索が続きそうだ。

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