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2010 長野県知事選

 7月22日告示、8月8日投開票の知事選で、副知事の腰原愛正氏(63)が7日に立候補を正式表明、前安曇野ちひろ美術館長の松本猛氏(59)、元副知事の阿部守一氏(49)と合わせて新人による三つどもえの構図がほぼ固まった。当初の固辞の姿勢から転じた腰原氏擁立の舞台裏で何があったのか。「県民党」を掲げる同氏の出馬によって村井県政の継承か否かが対立軸として急浮上する中、参院選後初の大型地方選挙となる知事選で、3氏にかかわる各党の対決色がどこまで出るのかも注目点になってきた。
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 「信濃会は解散か」。1日、長野市内。「第3の候補」擁立を目指してきた「信濃会」に参加する自民党県議と経済団体幹部が顔を突き合わせた。6月16日に発足した同会は水面下で複数の人物に出馬を打診。いずれも固辞され、焦りはピークに達していた。
 会内部で候補擁立の「期限」とされていた6月末を前に浮上したのが腰原氏。村井知事が引退表明した5月にも一度挙がったが、その時点では本格的な交渉には至っていなかった。「村井県政継承」を候補の条件とする同会は、副知事である腰原氏の県政継続への「使命感」に期待。非公式に接触を始めたが、1日時点で説得できる見通しは立っていなかった。
 同会が正式に出馬を要請したのは翌2日。ある参加者は「駄目でもともと。会としてのけじめだった」と明かす。非公開の会合で約40分に及んだ説得。当初は固辞した腰原氏だったが、会側の強い姿勢に回答を5日に持ち越した。
 週末の2日間、出身の大町市で親族会議を開き熟慮を重ねた腰原氏。4日夜、急きょ長野市に戻り、信濃会幹部と面会。「本当に私でいいのか、各会派や組織にもう一度考えてもらった上で、それでも死に物狂いでやるというなら考える」。同氏は会側の「鉄の結束」を条件に、出馬への覚悟を示したとされる。
 この間、村井知事は腰原氏から逐一報告を受けていたようだ。2日の定例会見では「(腰原氏から)その意思はないという連絡があった」と暴露。発言をいぶかる関係者もいたが、今では「要請側の結束を促すためのアナウンスだったのでは」との見方も。知事は7日、視察先の下伊那郡喬木村で腰原氏の出馬表明について「大変ありがたいこと。たゆみない長野県の発展のために頑張ってもらいたい」と期待感を示し、「支援するのは当然」と強調した。
 「長野県の無限の可能性をもっと掘り起こし、子どもたちが夢を持てる県を実現したい」。7日の出馬会見で決意を述べた腰原氏。一方で、内心ものぞかせた。「皆さん方の気持ちに寄り切られたということもある」
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 村井知事の後継色が強い腰原氏。7日、松本氏は「(村井県政で)県職員が現場に出て、県民と同じ立場から考えることが減っている傾向があると聞いている」と指摘。「違う道を歩きたい」と話した。阿部氏は「県民と話をして、私の考えを伝えていくことに尽きる。基本的に訴えていくことは同じ」と述べ、静観の構えを見せた。
 現県政を継承するかどうかが争点に浮上する一方、それぞれ支援を受ける形になる政党の色をどう出すか、3氏の違いも見えてきた。
 阿部氏は民主党からの推薦に向け、5日から同党県連と政策協議を始めた。同氏は「国に対してしっかりものを言うためには、政権与党とのつながりは有利になる」と説明。党県連も推薦が決まれば全面支援する構えだ。同党にとっては、参院選後全国で初めての知事選で影響力を発揮し、地方の支持基盤を強める狙いもある。同氏陣営は社民党県連とも意見交換している。
 政党との距離を近づける阿部氏の動きを他陣営は警戒。松本氏陣営の幹部は、県会最大会派の自民党県議団などが腰原氏の擁立を主導したことも含め、「民主の阿部氏、自民の腰原氏」との見方が浸透すると、共産党県委員会などでつくる「明るい県政をつくる県民の会」が支援に加わる松本氏への支持の広がりに影響が出る-と懸念する。同氏もこの日、「政党レベルの論議ではない、徹底した市民選挙をやる」と強調した。
 腰原氏も、出馬要請を受けた「信濃会」に自民党県議団が入って全面支援を受けることを承知しつつ、この日の会見では「一党一派に偏らない『県民党』の立場で臨む」と主張。会見場でも同氏の両脇に県内経済4団体と県農協中央会の幹部が並び、自民党県議らは後列から見守った。
 信濃会に加わる石田治一郎県議(自民党県連幹事長)は「過去の知事選でも自民党が前面に出ての選挙はなかった。政党対立を持ち込むことは、その後の県政運営にもマイナスだ」と話した。

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