The Shinano Mainichi Shimbun

信濃毎日新聞ニュース特集

メニュー

2014 長野県知事選

焦点=阿部知事再選出馬表明 決断の時機、県会配慮

2014年05月10日(土)


県会各派代表者会議で知事選に立候補する意向を伝える阿部知事(中央)=9日、県議会棟

 7月24日告示、8月10日投開票の知事選で、現職の阿部守一氏(53)が9日、立候補する意向を正式に表明した。当初は6月県会での表明を検討したが、3月に長野市と松本市、都内で開いた政治資金パーティーを機に周辺で早期の態度表明を求める声が強まり、前倒した。知事選をめぐっては、共産党が県労連などとつくる団体を通じ、月内をめどに対立候補の擁立を具体化させる方針。ほかの各党は阿部氏を推すことを視野に知事選対応の協議を加速させる構えで、対決構図や支援態勢が今後、徐々に固まっていきそうだ。


 「私自身は、与えられた(1期目の)任期に全力を尽くすことに専念したい思いがあった」。阿部氏は再選出馬を正式に表明した記者会見で、態度表明が告示まで約2カ月半に迫ったこの時期になった理由を問われ、こう述べた。


 阿部氏の政治活動をめぐっては、セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEOの鈴木敏文氏(埴科郡坂城町出身)が阿部氏の要請で、昨夏に資金管理団体「信州未来研究会」の会長に就任。支援者との連絡調整のため、研究会の長野市内の事務所に事務員を常駐させるなど、再選出馬を意識した動きが続いてきた。


 一方で、態度表明について阿部氏は慎重な姿勢に終始。周辺によると、公務への専念や、2010年前回選の表明が5月27日だったことを念頭に、当初は6月県会での表明を探っていた。県世論調査協会が4月に実施した調査で知事の支持率が85・5%となるなど、8割を超える状況が続いてきたことを背景に「他候補が出にくい状況なので表明は遅い方がいい」との周辺の助言もあった。


 流れが大きく変わったのは3月下旬。信州未来研究会が、阿部氏の著書出版記念を名目に県内外3会場で開いた政治資金パーティーだった。本人が進退に触れないまま出席者の支援表明や資金集めが先行する状況に、支持者らから「早く表明すべきだ」との声が続出。4月初めには阿部氏自身も「6月では遅い」と周囲に漏らしていた。


 表明のタイミングを計る上で阿部氏が重視したのは県会への配慮だ。前回選は、阿部氏に政権与党だった民主党国会議員、対立候補の腰原愛正氏には自民党国会議員が応援に駆け付けるなど、政党対決の様相となった。このため、阿部氏は知事就任後、県会の58議席(現在は欠員1)のうち3分の1を占める最大会派自民党(20人)など各会派との関係維持に腐心。今回の知事選では超党派の支持につなげたいとの思惑もあり、県会全会派がそろう代表者会議で出馬の意向を伝えた。


 自民党は今月24日に知事選対応などを協議する県連大会を予定し、民主党が10日に県連常任幹事会を予定していることも、9日表明の念頭にあったとみられる。


 阿部氏は、事前に周辺のごく一部に出馬意向を伝えた上で、9日の県会各派代表者会議の前日夕に議会側に出席したい旨を申し入れた。9日の会見では、最終的に出馬の意思を固めた時期を問われ、県会側に各派代表者会議への出席を申し入れた日と同じ「8日だ」と説明した。


<支援と対決と、各党動き>


 「(阿部氏の支援に向けて)どういう枠組みをつくるかがポイントになる」。阿部氏の正式表明を受け、前回選で阿部氏を推薦した民主党県連の倉田竜彦幹事長(県議)は取材にこう指摘した。


 阿部氏の1期目を検証してきた民主党県連は10日の常任幹事会で、再度推薦する方向だ。同じく前回選で阿部氏を推薦した社民党県連の竹内久幸代表(県議)は、12日に開く常任幹事会で「推薦する方向で調整している」と話す。


 前回選で阿部氏の対立候補を支援した自民党は、12日に県議団会議を開き、対応を協議する方針。本郷一彦団長は「1期目を検証しつつ率直に意見交換し、最大公約数を見いだしたい」とする。


 県議団顧問も務める石田治一郎・党県連幹事長は、県議団での議論を前提としつつ、「(県連として)推薦すべきだ」と主張。県議団や党県連内の一部には、前回選の経緯から異論もあるものの、「いよいよ(機は)熟した」と述べ、阿部氏を推す方向で一致するとの見通しを示した。


 同じく前回選で阿部氏の対立候補を支援した公明党県本部の太田昌孝代表(県議)は「推薦の要請があった時点で党として対応を決める」と説明。ただ、「党員、支持者にとって阿部氏が知事であることへの違和感はない」とし、支援の可能性を示唆する。


 県内主要政党の「相乗り」による阿部氏支援の構図がおぼろげに浮かぶ一方、共産党県委員会は「明るい県政をつくる県民の会」を基盤に5月中の新人候補擁立に向け作業を急ぐ。県民の会代表委員も務める鮎沢聡・党県委員長は「県政転換を目指して候補者を県内在住の1人に絞り込み、詰めの段階に来ている」と説明。「一日でも早く擁立にこぎ着けたい」とする。


 県会に議席を持たない日本維新の会県総支部の宮沢隆仁代表(衆院比例北陸信越)は、知事選の対応について「今後検討したい」。同じく結いの党の井出庸生・県第3区支部長(同)は「阿部氏の1期目の公約の総括や、2期目に向けて掲げる政策などを見極めたい」としている。


 阿部氏の周辺では、後援会組織や支援する政党・団体を有効に機能させていく方法についても検討している。