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2014 長野県知事選

県政主張、違い徐々に 告示まで1週間

2014年07月17日(木)


支援を受ける県議の県政報告会に出席、あいさつする阿部守一氏


公開討論会や政見放送収録に向けて打ち合わせをする野口俊邦氏

 8月10日投開票の知事選は、24日の告示まで17日で1週間となった。現職の阿部守一氏(53)が12日に基本政策集を発表したのに続き、新人で信州大名誉教授の野口俊邦氏(71)も19日に政策発表を予定する。両陣営とも具体的な政策の浸透を急ピッチで進めるとともに、それぞれ主張の違いを明確にして、有権者を引き付けていきたい考えだ。


 「長野県の一番の資源は県民の力だ。特に人材育成に力を入れたい」。阿部氏は16日、自身を支援する県議が長野市で開いた県政報告会のあいさつで、そう強調した。12日の政策発表では、県の風土を理解する「信州学」などの充実を公約。教員研修の見直しや自然環境を生かした子育て・教育の支援も掲げた。


 同日の記者会見では、地方教育行政法の改正を受け、知事と教育委員が協議する「総合教育会議」を来年度から設置する点に言及。「積極的に問題提起したい」とした。


 一方、野口氏は8日に長野市で開いた公開討論会で、地方教育行政法の改正について「教育への介入としか思えない」と批判。自身の大学教員経験にも触れつつ、「教育は自由の中で、教師が子どもや保護者と一緒につくっていくことが必要だ」と述べた。


 その上で「行政の役割は、教育の環境整備だ」と強調。政策チラシでは高校の30人規模学級実現を訴え、児童生徒や保護者が匿名で授業や学校運営を評価する新制度も、将来教員の処遇に反映させる方針を見直す―としている。


 現時点で教育のほかに大きな違いが目立つのは、リニア中央新幹線計画だ。


 阿部氏は、県内各地からリニア駅へのアクセス向上を進め、交流の拡大・地域活性化につなげると強調。工事による生活や自然への影響軽減に向け「十分な環境配慮や地域との合意形成をJR東海に求める」としている。


 野口氏は、トンネル工事で出る大量の残土の置き場が決まっていない点や、運搬車両による生活への影響を指摘。「リニア計画は全面的に中止を」とし、JR中央線の高速化や飯田線の利便性向上を優先すべきだと訴える。


 伊那谷や木曽地方の県議らが研究を始めた「第2県庁」構想についても両氏の姿勢は微妙に異なる。


 阿部氏は「(第2県庁のような)派手な名前を付けてやればいいという話ではない」とし、本庁の権限を地方事務所に移すなどの仕組みづくりを進める考えを示す。


 野口氏は、長野市にある本庁に遠隔地から行かなくても「県民が等しく県政に参加できる保障がいる」と強調。「第2県庁的な機能が、南信には必要だ」としている。


 子ども医療費をめぐる議論もある。県内では現在、入院は小学3年まで、通院は小学校入学前まで、患者の負担分を県と市町村が折半して無料化。これに各市町村がそれぞれ年齢などを定めて補助を上乗せしているが、いずれも患者が窓口でいったん自己負担分を支払い、後で戻す「償還払い」方式だ。


 阿部氏は「子育てに伴う経済的負担の軽減」を基本姿勢に、保育料など幅広い選択肢を考える姿勢。野口氏は「多くの県が実施している」として、支払いなしで受診できる「窓口無料化」を主張する。


 こうした違いの一方で、県短大(長野市)を四年制化する新県立大構想や、社会問題化する人口減少問題への対応など、両者の主張の差が見えにくい部分もある。5月に立候補を表明後、両氏は集会などで県民の声を聞くことに重点を置いてきた。双方の公約発表がそろった後は、内容や手法の具体的な違いにも言及しながら、施策の発信に本腰を入れていく方針だ。