高島さんの車の後部座席で過ごすポム

災害時に「ペットと避難」どうする? 事前のルール作り模索

2019年11月11日掲載

 台風19号の大雨による浸水被害で、いまだに多くの被災者が暮らす避難所。大型犬を飼う佐久市の女性からペット同伴で避難できるか、との疑問が本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に寄せられた。調べてみると、飼い主の多くはペットを同伴せず、受け入れている避難所でも対応に苦慮していることが分かった。ペット同伴の避難は、他の避難者との折り合いを探るしかない。事前のルール作りも必要になりそうだ。(千野裕理、島田周)

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 「この子も家族だから」。長野市豊野町豊野の高島孝志さん(43)は13日夜から、長野市の避難所となっている豊野西小学校の駐車場で、7歳の雄のポメラニアン「ポム」と車中泊をしている。毎日午後9時ごろにエンジンを止めて毛布にくるまりながら眠り、午前5時ごろに起床する生活を続けている。

 13日、高島さん宅が床上浸水し、母親(67)と避難所に身を寄せた。だが、すぐに他の避難者への迷惑になると考え、夜は飼い犬と一緒に車中泊をすることに。徐々に秋が深まり冷え込む夜も多い。「だんだんと元気がなくなっている」と愛犬を案じる。

 今回のような大規模災害時には、長期の避難生活を強いられる。課題の一つが、ペットを飼っている避難者と、そうでない避難者の共存。多くの飼い主が周囲に配慮してペットを同伴しない。高島さんのように車中泊をするか、被災した自宅にペットを残してえさを与えに帰るか、といった対応をするしかない。

 これらの対応ができない場合は一時預かりの仕組みがある。長野市保健所の動物愛護センターは、1年以内を原則に預かりを希望する被災者と、受け入れるボランティアを仲介している。ただ、全国で100人以上のボランティアが控えているのに対し、今回の利用は犬5件、猫3件にとどまる。一緒にいたいと考える人が多いようだ。

 市の避難所になっている北部スポーツ・レクリエーションパーク(三才)は、例外的にペット同伴の避難者が身を寄せている。市によると、被災後、最大で犬と猫計10匹を受け入れた。ペット同伴の家族はまとまったスペースで居住してもらうなど、他の避難者との共存を図ってきた。

 それでも共存は難しく11月2日には、床面積10平方メートル余のコンテナハウスを避難所脇に設置した。200人余が暮らす大きな避難所では、鳴き声や臭いが気になるとの声はどうしても出てくる。市の担当者は「飼い主も他の避難者も、互いに気遣っている。今後も折り合いを模索しながら運営していく」と話す。

 2018年7月の豪雨で被災した岡山県総社市は、市内3カ所にペットを同伴できる避難所を設置。最大で犬と猫計33匹が身を寄せた。鳴き声や臭いを気にする避難者に配慮し、専用部屋を用意。避難所で過ごすペットの体調管理は地元の獣医師に依頼した。同市危機管理室は「飼い主と他の避難者、両方の安心につながった」とする。

 長野市保健所の動物愛護センターは、今回の経験を糧に対応を充実させていく方針。ペットの受け入れや居場所など避難所ごとにルールをあらかじめ決めておくことで「被災ペット」の理解につなげたいとしている。

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