清陵祭実行委員会のメンバーたち。従来の形での実施はできなくなった=5月27日、諏訪市

私たちの文化祭どうしたい? 県内高校、延期や中止の動き

2020年06月 2日掲載

 新型コロナウイルスの感染防止のため、夏の甲子園大会や全国高校総体、合唱や吹奏楽の全国大会などが相次いで中止される中、「高校の文化祭も中止や縮小になっている」。伊那市内で英語塾を営む福沢健一さん(48)が本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に、そんな情報を届けてくれた。「『青春の1ページ』が抜け落ちてしまう」。懸命に打開策を探る高校生たちを訪ね、思いを聞いた。 (上沼可南波)

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 県立高校は6、7月に文化祭を開くことが多い。県教委は「新型コロナの影響で文化祭を中止・延期した高校の実態は把握していない」。ただ各高校に尋ねると、影響は確かに出ていた。

 伊那北高(伊那市)は6月18~21日に予定していた「ペン祭」を中止。9月上旬に生徒会の1日半程度の行事日を設ける方針という。伊那弥生ケ丘高(同)も6月25~28日予定だった「弥生祭」を中止し、代わりの行事を検討する方針だ。

 オンライン会議で開催の可否を議論してきた軽井沢高校(北佐久郡軽井沢町)は7月の文化祭を延期する方向。松本美須々ケ丘高(松本市)も、準備不足で例年通りの開催は難しい状況という。

 各校とも、休校で文化祭の準備期間が取れず、大学受験などへの影響も考慮し、苦しい選択を迫られている。

 福沢さんの塾に通う生徒の間でも、文化祭の中止を嘆く声が目立つ。「人生なんて思うようにならないことの方が多い。何年かたって笑って振り返られるような生き方をしよう」。そう励ます福沢さんだが、簡単に割り切れない気持ちもよく分かる。

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 「清陵祭どうなるの」。諏訪清陵高(諏訪市)3年生で文化祭「清陵祭」の実行委員長を務める渡辺孝太さん(17)は休校期間中、生徒たちから何度も聞かれた。今年の清陵祭は70回目の節目。インパクトのある記念企画を構想しているところだった。

 だが、7月3~6日の予定だった清陵祭は、一般公開を伴う従来の形では行わない方針になった。渡辺さんは15日、会員制交流サイト(SNS)を通し学校の方針を生徒たちに伝えた。「悲しくて正直今も立ち直れていない」。率直な気持ちも記した。

 副実行委員長で3年の萩原未結(みゆ)さん(17)、百瀬舟人(しゅうと)さん(17)、小口呼夏(こなつ)さん(17)も同じ思いだ。萩原さんは部活動でバンド活動をしている。文化祭が高校最後の発表の舞台となる生徒も多く「残念でやるせない」。

 県教委は、時期や形を変えて県立高校が文化祭を開くことを想定し、新型コロナの感染を防ぐための注意喚起を検討している。諏訪清陵の実行委も、代替案を模索。だが、ただでさえも休校で授業計画が乱れ、7月下旬には生徒会の引き継ぎもある。三枝是校長は「開催するとすれば夏のうちだろう」と見通す。

 渡辺さんは、清陵祭を盛り上げようと仲間と奔走する先輩たちの姿に憧れ、立候補して委員長になった。だが、今年は同じようにはできなかった。それでも「こんな時だからこそ、つながりや一体感を感じられる企画にしたい」。仲間とぎりぎりまで考え抜くつもりだ。

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