新型コロナ、蚊でうつるの?シーズン前に心配の声

2020年06月11日掲載

 新型コロナウイルス感染の終息が見通せない中、本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に「蚊がウイルスを媒介する恐れはないのか」との疑問が寄せられた。国内でも感染例があるデング熱や日本脳炎は蚊が媒介する。暑くなるとともに蚊が増えるこれからの季節、心配はもっともだ。世界保健機関(WHO)や厚生労働省の見解を取材した。

   (大杉健治)

 夏の風物詩、蚊取り線香や殺虫スプレー「キンチョール」で知られる大日本除虫菊(大阪市)。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、消費者から「蚊を通じてうつることはないのか」といった問い合わせが来ているという。「感染症を専門に研究している訳ではないので、お答えできない」と答えているそうだ。

 そこでWHOの特設サイトをチェックすると「迷信や不安に対するアドバイス」として「新型コロナウイルスは蚊に刺されることではうつりません」と書いてある。厚生労働省も同様に「蚊を介して人に感染した事例は見つかっていない」と説明。とりあえず心配はなさそうだが、まだ不明な点が多いウイルスで、なぜそう言えるのだろうか。

 新型コロナウイルスの「宿主」はコウモリとされているが、何らかの動物が「中間宿主」として人に媒介させたとみられている。媒介者として野生動物のセンザンコウやタケネズミ、アナグマ、ヘビなどが疑われているが、蚊はその中に含まれていない。

 信州大病院(松本市)感染制御室の金井信一郎副室長によると、新型コロナウイルスは主に感染者のせきやくしゃみといった飛沫(ひまつ)、唾液、鼻水などを介して近くにいる人の喉や肺に取り付き、増殖する。一方、蚊の体内では増殖できず、人が刺されても蚊の唾液を介して入るウイルスはごくわずかなため、人体には影響しないと考えられる。

 これに対し、2014年に日本で発生して問題になったデング熱は蚊がウイルスを媒介する。このウイルスは特定の種類の蚊の体内で増殖するため、人の血を吸うことで感染を広げる。新型コロナウイルスの感染とはメカニズムが違うという。もちろん、蚊に刺されないようにするに越したことはない。

 献血による感染を心配する声もあるようだが、基本的に心配は不要だ。日本赤十字社によると、輸血でウイルスが感染した例は報告されていない。念のために感染の可能性がある人の献血は断っているが、「現時点で輸血による感染の可能性はないと考えている」(血液事業本部)。イベント会場などでの献血中止が相次ぎ、血液確保が難しくなっており、日赤は献血への協力を呼び掛けている。

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 [蚊がウイルスを媒介する主な感染症]

 国内感染の報告があるのはデング熱と日本脳炎。厚生労働省のホームページによると、デング熱は急激な発熱があり、発疹、頭痛、骨関節痛、吐き気・嘔吐(おうと)などの症状が見られる。日本脳炎は突然の高熱、頭痛、嘔吐があり、意識障害やまひなど神経系の障害を引き起こす。後遺症が出たり亡くなったりする場合もある。国内では感染が確認されていないが、他には、アフリカや西アジア、中東、ヨーロッパなどでかかるウエストナイル熱、アフリカや中南米などでかかる黄熱といった感染症がある。

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