エアコンのない部屋で昼寝をする子どもたち。暑さが増すと眠りづらくなるという=松本市内の保育園

冷房ない保育園 室温35度超も 母親「何かあってからでは」

2020年07月 8日掲載

 冷房がない保育室で過ごす園児が熱中症にならないか心配―。本紙「声のチカラ」取材班に松本市立保育園に長男(4)が通う母親から声が寄せられた。市立保育園の約3割は年少以上の園児の部屋に冷房がない。「何かあってからでは遅い。市は危機感を持ってほしい」。母親らは熱中症対策は急務だと訴えている。(長沼佳史、木暮有紀子、竹内啓太)

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 6月中旬、ある市立保育園のエアコンがない部屋で園児たちが昼寝をしていた。窓を開けても、あまり風は通らない。園長は「暑さが増すと子どもたちが眠れなくなって体力を消耗する」と心配する。

 市によると、市立保育園・幼稚園計46園は、3歳未満児が過ごす部屋にエアコンがある一方、年少から年長までの部屋は昨年度に設置を始めた段階。全園への設置には3年かかる計画で、14園は未設置のままこの夏を迎えた。

 情報を寄せた母親は「保護者の間では酷暑の日は預けられないとの話題も出る」と話す。保育園側からも「元気がない子がいると(熱中症ではないかと)ドキッとする。夏が怖い」との声が上がる。ある保育園では昨夏、室温が35度を上回る日があったとし、職員が保冷剤を凍らせ、タオルに包んで園児の頰や首に当ててしのいだ。

 この保育園は昨年、暑い日には昼寝の時間だけ冷房のある未満児の部屋に移動したクラスもあったが、今夏は園児の密集を避けるため、同じ対応は難しい。保護者には冷却枕を購入してもらうよう頼んだ。園長は「自費で家庭用エアコンを付けられないか」とさえ思い悩む。

 隣接する安曇野市にも同様の声がある。市認定こども園計18園では3歳未満児の部屋は設置済みだが、年少以上の部屋は13園で未設置。残り5園も設置は一部の部屋にとどまる。年中園児の母親(35)は「公共施設の多くは冷房があるのに、こども園への設置が遅い」と訴える。

 県内自治体では近年の猛暑で設置を前倒ししたり、業務用の代わりに家庭用エアコンを導入したりしている。長野、上田、佐久、飯田、塩尻の各市に尋ねると、市立の保育園や幼稚園、こども園は、休園中や山間部の園を除き、園児が過ごす保育室はエアコンを設置済みだった。

 松本市保育課は今夏にエアコンを設置できない理由を「業者が多忙な上、機材も足りない」と回答。安曇野市福祉部は昨年度、こども園の全ての遊戯室にエアコンを設置したことから「緊急避難できる場所は確保できている」とする。

 情報を寄せた母親が松本市に「今年設置できないか」と問い合わせると、扇風機の台数を増やすなどと回答。市はその後、エアコンのない14園については「応急処置として希望した8園にミストシャワーを設置する」とした。「扇風機もミストシャワーもないよりはいいかもしれませんが、室内の暑さ対策になるのでしょうか。何か起こってからでは遅い」。盛夏を控え、懸念が拭えないでいる。

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