公立中吹奏楽部の活動費「年間4万円」高すぎる?

2020年11月 6日掲載

 県内公立中学校の吹奏楽部に孫が所属する男性から「活動費が高すぎる」という声が、本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に届いた。部活動の費用は近年増加傾向にあり、負担に感じる保護者は少なくない。男性は年間4万円余が徴収されるとし「高校や大学ならともかく、公立の義務教育では過剰。機会が均等と言えるのか」と首をかしげる。(島田周)

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<家庭の経済的負担、過度にならぬよう>

 男性が「学年の中で最も負担が大きい」とする2年生の場合、前後期の活動費各1万円に加え、コンクール出場時などにまとまった負担がある。今年は、新型コロナウイルスの影響で休校になったり、一部のコンクールが中止となったりしたが、現在は活動を再開。前期は半額ほどになったものの、徴収されているという。

 この吹奏楽部の昨年度の会計報告書によると、総支出額は200万円を超えた。半分強が複数回の外部講師による講習会の謝礼として支払われる。他にもコンクール時の楽器運搬料や楽譜代はそれぞれ10万円以上。男性は「軽減の余地がある」と指摘する。

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 「楽器の購入費も負担」と話すのは県内の公立中学校で娘が吹奏楽部に所属している母親(40)。中古の楽器を約5万円で購入した。安価な楽器を探しても負担は少なくないという。子どもが運動部に所属する別の母親(42)は「自分が中学生の頃にはなかった学校名入りの練習着やTシャツを購入しなければならない。子どもが望むから仕方ないけれど...」と話す。

 長野市がひとり親の第1子に支給する児童扶養手当は本年度の水準で最大月4万3160円。子どもが部活動をしていない30代の母親は「貧困家庭の子どもは好きな部活をするなと言われているように思える」と悔しがる。

 松本市教委は中学校の部活動の金銭的な負担が過度にならないよう「(むやみに高価なものではなく)技量に合った楽器を購入する」「運動部の練習着は小学校で使用していた物でもよい」といった指針を校長会や保護者会を通じて呼び掛けている。

 長野市教委は本年度、小中学校への部活動運営に関する通知に「活動費の負担について過度に保護者会に頼らない運営を心がける」との文言を加えた。原則、各学校の判断を重んじるが、過剰な負担を課している場合は指導もありうるとしている。

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 全国的にも部活動の費用は増えており、文化庁は「大会での成果を重視するあまり家庭の負担を大きくすると、芸術や文化の普及を阻害する」と指摘。スポーツ庁も保護者の経済負担が増えることに懸念を示す。

 部活動の実態に詳しい早稲田大の中沢篤史准教授(スポーツ社会学)は、義務教育の場合、経済的な理由で部活動に参加したい生徒の意向が阻まれることを問題視。「生徒の気持ちを尊重しながら、保護者や学校ができる範囲で支援するのが、あるべき部活の姿ではないか」と話している。

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