伊那市が発行したプレミアム付き商品券の見本。抽選となり、買えなかった市民から苦情が寄せられた=16日、伊那市

プレミアム商品券 応募相次ぎ落選続出「不公平」の声も

2020年11月25日掲載

 新型コロナウイルスの影響に伴う経済対策として市町村などが販売するプレミアム付き商品券を巡り、一部の自治体の販売方法に対する不満が本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班などに寄せられた。先着順の販売に応募が押し寄せ、2日目に発行冊数を超える例もあった。抽選で落選した人からは「不公平だ」と声が上がり、市町村などが苦慮している。(渡辺知弘)

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 須坂市は総額5億4千万円分の商品券を発行。1冊7500円分を5千円で販売し、1人で20冊(10万円)まで購入できた。応募はがきは10月1~15日の消印が有効。先着順が基本で、発行する7万2千冊を超えた日の消印分から抽選に回す仕組みだった。

 市商業観光課によると、申し込みは計約17万冊に上った。10月1日消印分の約3万7千冊は全て先着分として購入できるようにしたが、2日分は約4万冊に達し、この時点で発行冊数を超えたため2日分以降は抽選に。競争率は約4倍となった。はがき4枚を出して外れた市内の40代女性は「市民は約5万人。平等に分配すれば1人1冊は買えたはず」と首をかしげる。市には、販売方法への苦情や意見が30件ほど寄せられたという。

 同課によると、同じ方法で募集した2015年度は申し込みが少なく、抽選になったのは締め切り間際だった。今年、県内で実施された同様の事業で売れ残る例を聞いていたとし「ここまでの殺到は想定以上だった。見通しが甘かったかもしれない」とする。

 全応募者から抽選で購入者を決めた伊那市の商品券でも、市民から苦情が出た。1万5千円分1冊を1万円で、1人最大10冊購入できた。発行数は市人口とほぼ同じ6万7千冊だが、競争率は約2・3倍。抽選に漏れた市内男性は「10万円を超える購入権を得られる人と全く購入できない人が出るのはおかしい」。

 県地域振興課によると、プレミアム付き商品券販売やクーポン券配布などの経済対策は県内全77市町村で実施され、財源は国の交付金や県の補助金。どうすれば、不満が出なかったか―。経済ジャーナリストの荻原博子さん(小諸市出身)は、税金を使う事業は公平性と透明性の確保が必要と指摘。高額になればなるほど購入できない人の不公平感が高まるため「(上限を)3万~5万円程度にして広く行き渡らせた方がいいのではないか」とする。

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 一方、工夫して販売する自治体もある。「ながのビッグプレミアム商品券」(上限1人5万円)の申し込みを10月に受け付け、申込金額が発行総額32億円の3倍を超える99億円余に上った長野市は抽選にはしなかった。配分される商品券の額面を申込額の3分の1程度に減らし、申し込んだ全世帯に行き渡らせる。

 飯田市は当初、抽選の予定だったが申し込み段階で発行総額を超過し、超過分全てを追加発行。駒ケ根、佐久市は1人当たりの購入上限を抑え気味に設定した。東御市は1枚500円の割引券6枚を全市民に郵送し、不満は出なかったという。

 須坂、伊那市では今後、同様のプレミアム付き商品券を販売する場合には長野市など、他の自治体の方法を含めて検討する方針としている。

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