日没後の大濠公園で愛犬と散歩を楽しむ人。暑気が去り、涼しい風も吹いて、犬にも人にも快適な時間帯だ

肉球やけどの恐れも... ワンちゃん熱中症 注意

2021年08月 5日掲載 (西日本新聞)

 「真夏日に犬を散歩させる人がいた」「スーパーの駐車場で車内に犬が取り残されていた」「わんちゃんって熱中症にならないの?」-。西日本新聞「あなたの特命取材班」に、飼い主に連れられ外出中の犬を気遣う声が寄せられた。今年も暑い夏になっている。大切な家族の一員であるペットの健康をどう守るか。専門家に聞いた。(西日本新聞・竹添そら)

■地表は50度近くにも 人間より4度高い体感温度

 青空が広がった昼下がり。うだる暑さの中、福岡市中央区の大濠公園は犬を連れた人がちらほら。用事のついでに愛犬と散歩中という同市早良区の女性は「暑さは気になるけど、犬が外に出たがるので仕方なく」
 午後7時すぎ。涼しくなった大濠公園には飼い犬と散歩を楽しむ人たちが10組以上いた。同市中央区の女性はいつもは昼すぎの散歩を6月から日没後に変更。梅雨が明けてさらに暑くなれば、出発を午後8時に遅らせるという。愛犬の首元には冷却作用のあるバンダナを巻く。見事な毛並みも近くペットショップで夏用に刈り込む予定だ。「愛犬の体調や天気などに合わせて時間を変えたりして、融通を利かせてあげないと犬がかわいそう」
 くるみ動物病院(福岡市中央区)の桑原慶院長によると、夏は日差しの照り返しが強く、地面に近い犬の体感温度は人間より4度も高くなるという。特にアスファルトやマンホールの表面は50度近くなることがあり、肉球をやけどする恐れもある。散歩は炎天を避けて朝か日没後に行い、定期的な水分補給も大切だ。
 さらに人間の子どもと同様、エンジンを切った車内で留守番させるのはたとえ数分でも危険だ。エアコンも車種によっては停車中の冷却がうまく機能しない場合がある。車内での留守番は極力避けるか、誰かが一緒にいてあげよう。
 室内ではカーテンなどで遮光し、窓を開けたりエアコンをつけたりして室温を常時26~28度に保つ。留守番させるなら水飲み場を複数設けるのも効果的だ。
 犬は汗腺が肉球にしか無く、熱中症になると体温を下げるためにパンティング(ハァハァと速く浅い呼吸)をしたり、よだれが出たり、ふらついたりする。症状に気付いたら、涼しい場所へ移し、首や脇、足の付け根など血管の太いところに水をかけたり、ぬれタオルをあてたりして冷やす。無理のない範囲で水分をとらせ、かかりつけ医などに相談しよう。
 特に幼犬や老犬は危険性が高い。熱が体内にこもりやすい長毛種や、代謝の低い肥満の犬も注意が必要だ。桑原院長は「犬は言葉で体の異変を伝えられない。飼い主が普段から体調を気にかけることが何より大切だ」と話した。
■「厳重警戒」「注意」...ペット損保が週間予報
 ペット保険を手がける「アニコム損害保険」(東京)は2013年から、「犬の熱中症週間予報」をフェイスブックやLINE(ライン)などの会員制交流サイト(SNS)で無料配信中だ。
 同社は獣医師資格を持つ気象予報士の鈴木勝博さんと共同で、犬種や体高、代謝などを総合した「熱中症指標」を開発。この指標と天気予報とを組み合わせ、福岡市を含む全国10都市の熱中症の危険性を「厳重警戒」「警戒」「注意」「やや注意」の4段階で示す。
 アニコムグループのアカウントに登録すると、4~9月の毎週金曜日に配信される。「お昼前後のお散歩は絶対NG」「水はこまめに取り換え、いつも新鮮で冷たいものを」などその日の天気に応じた鈴木さんの助言も添えられる。
 同社の保険に加入する犬59万384頭のうち熱中症と診断されたのは965頭(18年度)。同社は「犬の熱中症は飼い主が適切な環境を整えれば減らせる。予報を参考にしてほしい」と話す。
 ペットショップでは暑さ対策用品の商戦も始まっている。福岡市中央区の「P2イムズ店」では特設ワゴンに、ペット用に塩分や糖分を抑えるなどしたスポーツ飲料やシャーベット、水にいったん浸して絞り全身をくるむ冷却ポンチョなどが並ぶ。担当者によると、今年は冷感素材の敷物が売れ行き好調だという。


飲料や冷感素材の敷物などペット向けの暑さ対策用品が並ぶ「P2イムズ店」の特設ワゴン
アニコム損害保険の「犬の熱中症週間予報」(同社提供)

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