それ盗撮では? 水遊びでわが子に望遠レンズ どうすれば...

2021年08月30日掲載

 女性アスリートの盗撮被害が問題となる中、一般人も被害に遭うケースがあるようだ。楽しいはずの水遊び場で「娘が『盗撮まがい』の行為を受けた」とのメールが本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に届いた。投稿主は北信地域で暮らす40代の父親。長野市内の公園の噴水で小学生の長女と次女を遊ばせていたところ、離れた場所にいた年配の男性カメラマンが望遠レンズを向けてきた。子どもたちは水着姿や半裸。不審に思って「何を撮っているんだ」と声を掛けると口論になったという。(牧野容光)

 問題が起きたのは7月中旬だ。カメラマンは父親に「噴水の風景を撮ってコンテストに出す」と釈明。「子どもの姿なんて撮ってない」などと反論した。だが、撮影画像の確認には応じなかった。

 当時、噴水では20人ほどの子どもが遊んでいた。噴水にレンズを向ければ、子どもの姿が写り込む。小児性愛者の存在も知られる中、撮影された水着や半裸の子どもの画像が、悪意を持ってインターネット上で拡散しはしまいか―。父親は「私は一体、どう対応すれば良かったのでしょうか」と振り返る。

■県外では同様のトラブル

 こうした父親の訴えを巡り、公園を管理する長野市公園緑地課は「同じような意見や情報は寄せられていない」とする。松本市や千曲市、伊那市の市営公園の担当部署にも聞いたが同じ回答だった。

 だが、県外に目を向けると、同じようなトラブルが起きているようだ。河川を利用した親水公園を多く保有する東京都江戸川区では夏になると、子どもの水遊びの姿を撮影する不審者の目撃情報が寄せられるという。

 利用者から区役所へ情報が寄せられた場合、青色パトロールカーを現場に向かわせたり、近くにいる清掃員が声を掛けたりして犯罪行為につながらないよう対処しているという。同区担当者は「『不審者』の行為が盗撮なのか判断が付きにくく、対応は非常に難しい」と話す。

 長野県にも東京都と同様、盗撮行為を処罰する県迷惑防止条例がある。ただ、公園で水着姿で遊ぶ子どもたちを撮影する行為がこの条例の処罰対象になるかは難しい問題だ。条例に詳しい園田寿甲南大名誉教授(刑法)も「風景を撮影した写真に子どもの姿が写り込むこと自体は許容範囲だと思う」と指摘。ただ、「望遠レンズを使って執拗(しつよう)に特定の子どもを撮るようであれば、条例が禁じる『不安を覚えさせるような仕方で』の写真撮影に該当する恐れもある」とする。

■弁護士「被写体の承諾なき撮影は違法」

 多くの自治体では公営プールでの水着姿の撮影を禁じている。長野市スポーツ課は「迷惑行為に当たるため」と説明。プール内と公園では場所は違うものの、水着姿を被写体とする意味では同じ行為だ。

 憲法13条が、何人もみだりに容姿や姿態を撮影されない自由を保障している―とする最高裁判例もある。肖像権やプライバシー権に詳しい佃克彦弁護士(東京)は「写真家がコンテストに出品するためであろうと被写体の承諾なき撮影は違法」と指摘。「被写体が水着姿の子どもであれば損害賠償請求が認められるであろう」とする。

 日本写真家協会の吉川信之・著作権委員長は技術的進歩で、アマチュアでも簡単に望遠レンズを使いこなせるようになったことでトラブルが起きやすくなっている―と指摘。「被写体となる人物が写真の主題であれば、被写体や保護者が拒んだ場合、撮影する権利はない」としている。

とは

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