飼い主が新型コロナに...ペットの世話は?

2021年09月22日掲載

 「新型コロナウイルスに感染した人から犬の世話を頼まれ、困りました」。県内でペットホテルを営む40代女性が本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に声を寄せた。飼い主は1人暮らしで室内で飼っている犬が取り残されてしまう緊急事態という。ペットホテルが満室だったため、女性は飼い主宅に通って犬の世話をすることも検討。だが、室内の床や壁にウイルスが付着しているかもしれない。こんな時、どうすればいいのか?(牧野容光)

 飼い主から依頼の電話があったのは8月上旬の夕方だった。以前から顧客として付き合いがあったが、唐突に「2週間、犬の世話をしてほしい」と頼まれた。理由を尋ねると「コロナに感染した」とのこと。女性は「頭が真っ白になった」。

 そこで女性は地元の保健所に相談。保健所側から、使い捨ての手袋やエプロンなどを貸与すると提案された。だが、女性は「感染リスクは拭えない。自分が感染すると、他の犬の世話ができなくなる。他の客に迷惑を掛ける恐れがある」と考えた。

 依頼を断ると、飼い主は思いもしない行動に出た。夜通し車を運転し、都内の実家へ犬を預けに行ったのだ。翌朝には県内に戻り、自身は宿泊療養施設へ。女性は「感染者が県境をまたいで移動するのは感染を広げるリスクがある。依頼を断ってしまって良かったのだろうか」と自問する。

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 ペットを飼う人も多い東京都の獣医師会は昨年2月、飼い主が感染した場合の「Q&A」を公表しており、参考になりそうだ。

 同会は、室内犬などの場合、感染者宅で世話することは「感染対策上お勧めできない」と強調。犬にウイルスが付いている恐れもあることから、世話をする際はマスクやグローブを着け、世話をした後は十分な手洗いを呼び掛ける。

 都内では昨秋、ペットを同伴できる宿泊療養施設(50部屋)も開設された。都によると、「ペットを残したまま施設に入りたくない」といった感染者の声に応じた。今月はおおむね30部屋前後が利用されているという。

 長野県によると、県内には現在、五つの宿泊療養施設(定員計523人)が開設されているが、いずれもペットの同伴はできない。9月にも新たに一つ開設する予定だが、同様にペット同伴は不可とする予定だ。

 動物愛護法を所管する環境省は昨年4月、都道府県などに飼い主が預かり先を相談できる対応窓口の明確化を検討するよう通知。長野県は8月末時点で窓口を設けておらず予定もないが、担当の食品生活衛生課は「感染者に対応する現地の保健所などが個別に相談に応じている」とする。

 感染収束の見通しが立たない中、備えがあるにこしたことはない。環境省は、家族や知人などペットの預け先をあらかじめ決めておくよう求めている。

とは

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