「桃太郎電鉄」最新作での「上田」とその周辺の画面。上田はJR小海線にあるように見える(コナミデジタルエンタテインメント提供、©さくまあきら、©KonamiDigitalEntertainment)

桃鉄、上田駅が小海線に!? 制作側「架空の設定楽しんで」

2021年10月20日掲載

■「県民として間違ってほしくない」指摘が

 全国の鉄道駅をすごろくで旅する人気ゲーム「桃太郎電鉄」(通称・桃鉄)シリーズで「『上田駅』の場所が実際と違う」との指摘が本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に寄せられた。確認すると、確かにゲーム内の「上田」は随分と南方に描かれ、JR小海線上にあるように見える。ゲーム上のこととはいえ「県民として間違ってほしくありません」と少しご立腹の投稿者。なぜ実際の場所と異なるのか。

 桃鉄シリーズ第1作は1988年12月、任天堂のテレビゲーム機「ファミコン」向けに発売された。プレーヤーが鉄道会社社長となり、サイコロを振って全国を巡る。決められた目的地まで到達する早さを競いつつ、途中で「栗おこわ屋」「自動車部品工場」など地域色豊かな物件を買い、「決算」までに獲得できた資産の多さを競う内容だ。

 購入した物件を捨ててしまうなどの妨害行為をする「貧乏神」が登場するのも魅力の一つ。「キングボンビー」などに変身して悪行ざんまいになる貧乏神を他のプレーヤーになすり付け、ゲームを有利に進めていく。2020年11月に発売された最新作だけでも販売実績は300万本を超えるという。

 実際の上田駅は、しなの鉄道線軽井沢―篠ノ井間のちょうど真ん中辺りにある。だが、最新作に登場する上田駅はそれよりもっと南方、どうもJR小海線小淵沢―小諸間のちょうど真ん中で、八ケ岳山麓にあるように見える。

 現在、発売元となっているのは大手ゲームメーカーのコナミデジタルエンタテインメント(東京)だ。取材を申し込むと、書面で次のようなコメントが届いた。

 「(ゲーム上の)鉄道路線図は、現実の路線と必ずしも合っているわけではございません。架空の路線を設定しています。ゲームの中の長野県として引き続き、お楽しみいただけますと幸いです」

           ◇

■「駅を隣接させるより、少し離した方が盛り上がる」との意見も

 実際の場所と異なる点に気付きつつ、違和感を抱きながらプレーしている人もいる。長野市の会社員男性(42)は週末、小学5年の次男(10)とプレーするのが楽しみだ。最新作で上田の位置が異なることに気付き、「次男には『本当の上田駅はここじゃないからな』と教えました」。

 実際の上田駅があるしなの鉄道線は国道18号とほぼ並走し、上田市や埴科郡坂城町など県内指折りの製造業がある地域を走り抜ける。一方、小海線は「八ケ岳高原線」の愛称で親しまれるJR線で、昼は八ケ岳や高原野菜畑、夜には満天の星が車窓から見えるのが売りだ。

 それだけに、長野市内の鉄道ファンの30代会社員男性は「路線としては全然違うイメージ。ゲーム上の上田駅が小海線にあるように見えるのは残念」と話す。

 桃鉄に詳しいブロガーで会社員の楠野隼平(くすのしゅんぺい)さん(26)=北海道江別市=は「実際の路線図に近づけると、ゲーム上では『千曲』の東隣が『上田』となる。でも、駅を隣接させるより、少し離した方が盛り上がる」と、制作側の意図を推し量る。

 桃鉄では他にも駅同士の位置が逆だったり、本来は行き止まりの路線が環状線になっていたりする例もあるという。楠野さんは「地元住民としては受け入れがたい心情もある。愛好者の声を踏まえ、次回以降の作品で、どう変わるか注目したい」としている。(牧野容光)

桃鉄の最新作のパッケージ(コナミデジタルエンタテインメント提供、©さくまあきら、©KonamiDigitalEntertainment)

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