子宮頸がんワクチン なぜ高校1年は来月中に始めた方がいい?

2021年11月 2日掲載

 「希望する高校1年生は11月中に接種を開始してほしい」。子宮頸(けい)がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンを巡り、本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班にこんな指摘が届きました。投稿主は接種を巡る啓発活動に取り組む県厚生連佐久総合病院佐久医療センターの坂本昌彦医師。なぜ、11月末までには始めるべきで、そもそも子宮頸がんはどのような病気なのか、ワクチンは安全なのか。坂本医師に聞きました。(牧野容光)

■啓発に取り組む坂本昌彦医師に聞く

 子宮頸がんとは、子宮の入り口にできるがんです。国内では毎年1万1千人がかかり、約2800人(1日だと8人)が亡くなっています。20代から40代までの比較的若い患者が多く、子宮を失ったり命を落としたりすることもあり「マザーキラー」との別名もあります。原因の95%以上は、HPVの感染。ワクチン接種で、子宮頸がんを約5~9割防げます。

 HPVワクチンは一時期、安全性を疑問視する指摘がありました。接種後に「歩けなくなる」「集中力が低下する」といった事例の報道がありました。しかし、その後の研究で、これらの症状はワクチンを接種していなくても同じ頻度で起こると分かりました。ワクチンが原因でこれらの症状が起こるわけではなかったのです。このワクチンがHPV感染や子宮頸がんを予防することが大規模なデータとして分かってきたため、厚生労働省の専門部会は今月1日、2013年以降中止していた積極的な接種勧奨の再開を認めることで一致しました。

■高2から自費負担 3回完了には最低4カ月

 接種には、通常1回1万~2万円かかりますが、女性は小学6年の4月から高校1年の3月末までであれば、予防接種法に基づき無料で接種できます。女性でも、高校2年以降は自費負担になります。このワクチンは3回接種することでしっかり免疫がつきます。通常、1回目から3回目までの接種を終えるには6カ月かかりますが、やむを得ない場合は4カ月でも良いと認められています。3回とも無料で接種を済ませるには、通常高1の9月末までに1回目を済ませる必要がありますが、11月中に済ませれば、何とか3月末までに3回接種を間に合わせることができます。

 HPVは性交渉を通じて感染します。男女ともにHPVワクチン接種をすることで、より効率的にHPVを予防できます。男性がかかる肛門がんの約95%、中咽頭がんの約50%、陰茎がんの約48%は、HPV感染が原因。男性自身が命を守るためにも、接種がお勧めです。豪州や米国、カナダ、英国など20カ国以上では、男性の接種が法定化されるなどしていますが、残念ながら日本ではまだ男性は自費になります。

          ◇

 〈HPVワクチン〉若い女性に多い子宮頸がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチン。国は2010年に費用助成を時限的にスタート。13年4月に法定の定期接種となり、小学6年から高校1年の女子を対象とする原則無料の接種が恒久化された。痛みやけいれんといった副作用の報告があり、厚生労働省は同年6月、全国の自治体に接種の積極的な呼び掛けをいったんは一時中止するよう勧告。ただ、海外の大規模研究で予防効果が示されたことなどから、厚生労働省の専門部会が今月1日、積極的な接種勧奨の再開を認めることで一致している。

とは

私たちが日々の暮らしの中で出合う、さまざまな疑問や困りごと、「おかしいな」「納得できない」「なぜだろう」と思うできごと。記者に伝えることで、ヒントや答えが得られるかもしれません。
「声のチカラ」(コエチカ)は、あなたが寄せてくれた情報を出発点に記者が取材し、記事にする新たな仕組みです。一人一人の声と記者がつながることで、地域や社会を変える力が生まれます。

⇒詳しくは、特設ページをご覧ください

記事リスト

一覧