善光寺境内から大空へ向けて放たれたライト=2021年12月22日、長野市

善光寺から光―これ光害? 「イルミネーション」の演出で夜空へ照射

2022年01月 8日掲載

 「善光寺からサーチライトのような光が見えるんですけど...」。こんな情報が本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に届いた。サーチライトといえば、県内の天文愛好家らがラブホテルのサーチライトを「光害だ」と訴えたのを受け、県が夜空への照射を禁止できるよう2021年の県会9月定例会で条例改正したばかり。善光寺を訪ねると、確かに境内から一筋の光が延びていた。21年12月18日に始まり、同月26日まで本堂や周辺を光で彩る催し「善光寺表参道イルミネーション」の演出の一部だが、規制対象になるのだろうか?(牧野容光)

■県条例改正したばかり...来春施行、現在は対象外

 催しはレーザー光線などで本堂や山門を照らし出す。期間中の午後5時に始まり、同8時まで。記者が訪れた夜も幻想的な演出をひと目見ようと観光客でにぎわっていた。ひときわ目を引いたのが本堂前の地面に設置されたライト。境内に大音量で流れるベートーベンの「交響曲第9番」に合わせ、自動で首を振り、はるか南の夜空を照らしていた。

 長野市や善光寺、長野商工会議所などでつくる実行委員会によると、この白い柱のように見える光は、22年の善光寺御開帳を控え「(境内に立てて前立本尊と結ぶ)回向柱をイメージした」という。

 県の改正条例は「光害」を「照明器具から照射される光の量または方向により、星空環境に悪影響が生ずること」などと定義。「何人も、サーチライトを自己が所有し、または占有する特定の対象物を照射する方法以外の方法で使用してはならない」とした。

 条文を素直に読むと、回向柱をイメージした演出は境内の外へ向けられており、禁止行為に該当しそうだ。

 そこで担当の県水大気環境課に尋ねた。担当者は硬い口調で「(イベントでの照明について)詳細を把握していない。現段階では判断できない」と答えた。

 条例は「犯罪の捜査、遭難者の捜索その他規則で定める場合」を例外としており、県は施行規則で「祭典等の催物において一時的に使用する場合」などとも定めている。

 例外規定に該当するのか―。県の担当者は「実際に条例の運用を始めてみないと分からない」と答えた。

 改正条例は2021年10月に成立したものの、サーチライトで夜空を照らす行為を禁じるのは22年4月からだ。そのため、善光寺での催しは対象外となる。

 条例は、知事が改善命令を出すことができ、従わないと5万円以下の過料に処すとも定める。このため、県の担当者は「2022年度は催しを開く前に、『光害』を生じさせないか、事前に相談してもらう方が良い」とする。

 善光寺での催しは21年で4回目だが、今回の演出は初めて。実行委事務局の長野市観光振興課担当者は「芸術作品として光の当て方なども考えており『光害』には当たらない」としつつ「来年度以降の演出については県とも事前に相談したい」とした。

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