楚山市議の活動報告書

小諸市議の発言が「議事録から削除」⁉ 活動報告書が波紋

2022年05月 3日掲載

 ある朝、小諸市の会社員男性は新聞に折り込まれた市議の活動報告書を読んで驚いた。議会での発言が自らの意に反して議事録から「削除された」と書いてあったからだ。「小諸市には言論の自由があるのでしょうか?」。本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班は投稿を受け、取材を始めた。(牧野容光)

■真相は「了承の上」

 報告書を作成したのは1期目で無所属の楚山伸二市議(53)だった。B4判カラー、全4ページ。2021年度の活動を振り返る内容だった。そこには楚山氏が「行政の"追認機関"に成り下がってしまわないよう、議会は『行政監視機能』の一層の強化を果たしていく事が求められています」との発言をしたところ「『一部』が本当に議事録から削除!されてしまいました」と書かれていた。

 だが、取材班が市議会事務局に問い合わせると「楚山議員の了承を得ています」。一体どういうことなのだろう?

          ◇

 市議会事務局などによると、取り消されたのは昨年6月10日の市議会定例会一般質問での発言。楚山氏は、議会の行政に対する監視機能の強化が必要だ―といった一般論を前置きした上で「最近、行政監視機能の強化に逆行するような事案や、空気感の醸成が事務局運営の一部で散見されているが、議会事務局長人事についてどう考えるのか?」と質問を続けた。

 すると、翌日になって市議2人が清水喜久男議長(72)に「一般質問としてふさわしくない」と申し入れた。議会運営委員会も「一般質問にふさわしくない」と全会一致。一般質問は行政府である市の執行状況などをただす場だが、楚山氏の発言は立法府である市議会内部の問題を取り上げた―との理由だった。

 清水議長は議運委の判断も示し、楚山氏に発言取り消しを申し入れた。楚山氏は了承。議長は6月定例会最終日に発言取り消しを宣言した。

■識者「記述は誤解招くが、発言の自由尊重を」

 取材班は楚山氏に事情を聴いた。取り消しを了承した理由について楚山氏は「他の議員から議長の顔を立てろと言われた」などと説明。「議事録には取り消した痕跡が残る。それでいいと思った」とした。自ら了承した旨を活動報告書に書かなかったことについては「スペースが足りなかった」とした。

 取材経過を投稿を寄せた男性に伝えると、あぜんとした様子で言った。「受けた印象が全く違います...」

 「楚山氏の活動報告書の記述は一方的に制裁を受けたかのようで読んだ人に誤った印象を与える」。NPO法人情報公開クリアリングハウス(東京)理事長の三木由希子さんは話す。

 市議会事務局などによると、実際に、報告書を読んだ市民からは事務局などに「言論の自由を返せ」といった趣旨のファクスが届いたという。

 ただ、三木さんは、ほとんどの自治体議会が首長部局との交流人事で運営されている現状を踏まえ、「議会事務局長人事を一般質問で取り上げることには一定の妥当性があり、発言の自由は尊重すべきだ」ともした。

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