スキルアップに力を発揮 [教育現場]社会を学びながら、考え・表現する力が身につく!

社会を知ることが、若者たちの自信に

清泉女学院大学・短期大学キャリア支援センター長 宮下 淳さん(長野市)

キャリア支援センターの仕事は学生の進路支援。センター長の宮下さんは、学生との対話の中で、社会に出ることに不安を抱いている学生が多いと感じるそうです。
「不安の理由は単に社会を知らないから。その点、新聞は社会との橋渡し役になる」と新聞への期待をにじませます。さらに「日本語力」が磨かれ、世の中の動向に触れて問題意識を持つようになり、洞察力が身につく、と。
「私が学生に言いたいのは、まずは新聞をめくってみて、ということ。読み方は自分流でいい」
宮下さんは新聞の最大の特徴を、めくればいろいろな情報に突き当たる「一覧性」にあるとし、「情報の総合デパート」に例えます。時には意外な掘り出しものもある。これに対してテレビのニュースは、世間の関心が高そうなものを選んで発信する「情報のセレクトショップ」。各メディアの特徴を生かして活用することで、多様な見方を育むことができます。
同学では県内で就職する学生が大半を占めています。人間関係を築く上で必要になる「会話力」を磨くためにも、地域の話題が豊富な信濃毎日新聞は最適なツールだと宮下さんは感じています。「就職がゴールではありません。学生たちには社会に出てからいっそう輝いてもらいたい。応援する意味で、早くから新聞になじんでおいて損はないよ、とアドバイスしています」

キャリア教育に〝NICE〟な取り組み


丸子修学館高校 佐藤 真平先生(33/上田市)

新聞を学習に活用する取り組みをNIEといいます。長野県NIE推進協議会の研究指定校となっている丸子修学館高校(上田市)では、そこに「キャリア=仕事人生」を加えて独自にNICE(Newspaper in Career Education)と命名。3年間を通して体系的に新聞を活用したキャリア教育を実践しています。主な目的は、自分と社会を理解し、コミュニケーション能力、課題対応能力を高めて、将来の進路選択に生かすこと。生徒自身が科目を選択し、社会で必要とされる力を身につけていく総合学科高校ならではの取り組みといえるでしょう。
2年次担当の佐藤先生に具体的な授業内容を聞きました。
授業では、一人1部用意された新聞の中から自分が興味を持った記事を切り抜き、内容を要約して社会理解を深めていきます。さらにそれをもとにグループで討議し、クラスで発表会を開く-。「自分の関心事を理解し、発表を通じて視野を広げ、コミュニケーション力もつけていきます。3年次には疑問点に気づき、自分で調べ、解決する力を高めてほしい」と、佐藤先生は期待しています。
同校では週1回、教員が用意した記事を読んで新聞に親しむ時間も設けています。「生徒たちは実際に社会に接することなく、将来を選択していかなければいけない。その意味でも新聞の情報は貴重で、読む習慣を身につけてほしい。研究指定校が終わる来年度以降もこの授業を続けたい」と佐藤先生。NICEという名前も、NIEを継続し、定着させたい思いで命名したそうです。

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