TOP2013年03月絆は消えない 信州から続く被災地支援

 東日本大震災から11日で丸2年。長野県内から今も継続的な支援を続ける団体や個人が少なくない。子どもや保護者の心のケアに力を入れたり、被災地にコーヒー豆を送ったり...。息の長い支援ができるよう、支える側も支えられる側もそれぞれが元気になれる交流を目指す動きもある。

   <松本大の臨床心理士 親子の心をケアし続け>

 宮城県石巻市の大街道(おおかいどう)小学校で子どもたちや保護者の相談を受けている松本大(松本市)非常勤講師で臨床心理士の古林(こばやし)康江さんが、保護者向けの便り「絆」を作った。保護者から、子どもの体調変化を心配する声が寄せられているためで、子どもたちが心的外傷後ストレス障害(PTSD)にならないよう家庭を支える必要があると考えて、便りを作った。11日以降、学校を通して保護者に配られる。

 「絆」はA4判の表裏1枚で400部。家では子どもの話をゆっくり聞いて抱きしめてあげ、地域ではあいさつをし合うことで、家でも地域でも子どもが周囲とつながっている安心感を与えることが大切―と助言している。半年に1回のペースで発行予定。

 震災による石巻市の死者・行方不明者は3500人余、被災自治体別では最も多かった。大街道小の子どもは2人が亡くなり、校舎は津波で浸水被害に遭った。松本大の学生と教職員有志は震災発生翌月の2011年4月から、同小を拠点にボランティア活動をし、子どもたちを対象にした放課後の学習支援の他、古林さんはほぼ月1回現地を訪れ、子どもや保護者の悩みを聞くなどしている。

 古林さんが昨夏、同小の子ども約330人を対象に行ったアンケートでは、ふとしたきっかけで地震や津波を思い出したり眠れなかったりし、その状態が続けばPTSDになる可能性がある子どもは17人で、前年同期の調査より11人減った。同小の佐藤文昭校長は取材に、「不登校もなく、学校では子どもは落ち着いている」と話す。

 子どもたちから古林さんへの相談は減っているが、「子どもが家で落ち着きがない」「子どもが急に太った」といった保護者からの相談が増えている。これらの家庭では、震災後に父親が仕事の都合で宮城県外に行き子どもと離れて暮らしていたり、津波で被害に遭った家の建て替え場所が決まっていなかったりするなど、震災の影響を受けている様子が分かったという。

 古林さんは「子どもは表に出さなくても、不安を抱え込んでいる可能性がある」と指摘している。

   <陸前高田にコーヒー豆 肩肘張らず交流息長く>

 長野市豊野町浅野で喫茶店「珈琲(コーヒー)日和」を営む柳沢岳(たけし)さん(35)、新奈(にいな)さん(38)夫妻は2011年12月から、岩手県陸前高田市の仮設住宅にコーヒー豆を送っている。最近は、仮設住宅に住む人たちからタオルやリボンでゾウの顔を作った「がんばるゾウ」が届く。新奈さんは「遠慮のない交流を続けたい」と意気込んでいる。
 きっかけは同市に支援ボランティアに行った常連客に、豆を持っていってもらったこと。避難している人たちは昨年4月、仮設住宅の集会所に無料の喫茶コーナーをつくり、夫妻への感謝を込めて「珈琲日和」と書いたのれんを掛けたという。毎朝十数人がコーヒーを飲み、世間話をする場になっているという。
 夫妻は昨年暮れ、知人の菓子店や農家にも呼び掛けてケーキやリンゴを送った。同じころ、仮設住宅の女性たちからは2個の「がんばるゾウ」が夫妻の元へ。新奈さんが感謝の思いを伝えると、さらに50個余が届いた。女性たちからは「喜んでもらえてうれしい」と反応があったという。
 「肩肘張らずに『ありがとう』と言い合える間柄でないと、支援は長続きしない」と新奈さん。今後も「豆とゾウ」の交流が続くよう願っている。

2013年3月11日掲載

災害用掲示板(安否確認)