信濃毎日新聞ニュース特集

2018 長野県知事選

実績、転換、舌戦初日 知事選告示

2018年07月20日(金)

 知事選が告示された19日、立候補した現職の阿部守一氏(57)、新人の金井忠一氏(68)の無所属2氏は第一声の後、遊説をスタートさせ、県内各地で街頭演説をした。阿部氏は2期8年の実績を示しつつ、知事就任当初の「初心に帰る」姿勢を強調。金井氏は国政への批判も交えて阿部氏との相違点を打ち出し、「転換」を訴えた。それぞれの第一声や街頭演説から、初日の訴えの特徴を見た。


<阿部氏「初心忘れず県民目線」>
 「初心を忘れてはいけない。一人一人の県民と目線を合わせ、県政を進めたい」。阿部氏は下水内郡栄村で行った第一声で、ひときわ大きな声で訴えた。同村での2011年の地震対応が知事としての原点だとし、「原点回帰」を期す選挙のスタート地に選んだ意義を強調した。
 この日はほかに松本、岡谷、飯田市の計3カ所で演説や出陣式を設定。いずれの場でも栄村での第一声に触れ、県民目線などの基本姿勢は変えない―と説明。2期8年の実績と合わせ、安定感や謙虚さをアピールした。
 一方で、金井氏が批判する大北森林組合(大町市)の補助金不正受給事件への県の対応について、阿部氏がこの日の演説で触れることはなかった。
 阿部氏が各会場で地域課題を取り上げたのも特徴だ。JR松本駅前の演説では「第一の課題は県営松本空港の国際化だ」と主張。利用者数や国際チャーター便の増加といった実績を示しつつ、「世界の玄関口となるよう力を入れる」と訴えた。
 岡谷市では諏訪湖の浄化や観光活用、飯田市ではリニア中央新幹線建設による地域振興の説明に時間を割き、全県に目を配る「現職」としての意識がのぞいた。
 具体的な政策では、4会場のうち2会場で「学び」を「最重点課題」に挙げ、幼児教育から高等教育まで質の向上に取り組み、時代を先取りした教育や多様な保育サービスを実現する―とした。目指す県政の「五つの視点」として、「貧困などの子ども若者対策」「高齢者らが生きがいを持てる社会」「安心して暮らせる社会」「産業の振興」「自治力の強化」も例示した。


<金井氏「国に物を言う県政に」>
 「知事選では、三つの県政の転換をしていかなければならない」。金井氏は長野市のJR長野駅前で行った第一声で、5月末に発表した第1次政策で示した「三つの転換」に絞って訴えた。
 「国の悪政に物を言う」「オール与党態勢の県政を変える」「大型公共事業ではなく県民の切実な要望を優先する」とした「三つの転換」。第一声に加えて、長野、中野、佐久、小諸の各市で行った街頭演説でも「県政の転換」というキーワードを多用した。
 具体的な争点としては、大北森林組合(大町市)の補助金不正受給事件を巡る阿部氏の対応への批判に重点を置いた。上田市で夜に開いた事務所開きでは、20分余の演説の大半をこの問題に触れ、「一番の争点になる。(相手陣営は)反論できないので、ボディーブローのように効いている」と自信をにじませた。
 小諸市での街頭演説では「県内でも貧困が広がっている。県民の切実な要望を聞きながら県政に生かしたい」とし、子ども医療費の「完全無料化」や保育料軽減といった自身が重視する訴えを展開した。ただ、国政への批判を絡めながら阿部氏との違いを打ち出すことを優先。阿部氏と比べて、子育て支援や教育など自身の公約の具体的な政策について主張する場面は少なかった。
 国との向き合い方では、塩尻市で17日、米軍輸送機オスプレイとみられる機体が上空を飛行したことに触れ「県内も大変になりつつある。こういう時にこそ国の悪政に『ノー』と言える知事が必要だ」と強調。支援者からも「阿部氏は安倍首相(自民党総裁)から直接、推薦証を受け取っている」との声が上がった。