20年東京五輪へ課題 平昌の壮行会やPV、相次いだ非公開

201803/04

 冬季五輪で日本勢史上最多13個のメダルを獲得して閉幕した平昌(ピョンチャン)五輪。県勢の活躍は多くの県民を元気づけた。しかし選手の出身校や所属企業が計画した壮行会やパブリックビューイング(PV)が、外部公開すると五輪を利用した宣伝行為に当たるとする日本オリンピック委員会(JOC)の求めに従い、相次いで非公開になった。「やり過ぎ」「応援の機運を損ねる」との批判は強く、JOCには2020年東京五輪・パラリンピックに向けて重い課題が突き付けられている。
 スピードスケート・ショートトラックに出場した神長汐音選手が在籍し、菊池純礼選手(トヨタ自動車)が卒業した小海高校(南佐久郡小海町)は1月に開いた2人の壮行会を非公開にした。
 JOCの方針や他校の動きを踏まえたものの、臼田悦子教頭は「本校は公立校。壮行会を見て学校を選ぶとは思えない。宣伝行為と結び付けるのはちょっと...」と首をひねり、「おおらかに考えてもいいのでは」と残念がる。
 スピードスケート女子500メートル金メダルの小平奈緒選手が所属する相沢病院(松本市)。前回ソチ五輪で開いた一般参加のPVを今回はやめた。小平選手のメダル獲得後には懸垂幕を掲げることも検討した。だがJOCに確認するとこれも宣伝行為に当たると指摘され、断念した。同病院の広報担当は「選手の晴れの舞台で何もできないのはつらい」とこぼす。
 壮行会やPVを非公開とする動きは県内でも広がり、中にはPVを開くかどうかも明らかにしないなど過剰な反応を示す所属先もあった。
 JOCは、公式スポンサー以外の企業や団体(自治体、競技団体は除く)が壮行会やPVを公開することは五輪を利用した「不正便乗商法」に当たるとの見解だ。五輪マークや「オリンピック」の呼称などを使えるのは公式スポンサーだけとするIOC(国際オリンピック委員会)の方針を平昌五輪では厳格化した。

 所属企業は選手を社員として雇用し、競技生活を支えてきた側面がある。ある県内企業は「スポンサーがあって五輪が成り立っているのは事実」と理解を示す一方、別の企業からは「やり過ぎではないか」との声が漏れる。

 高まる批判を受けてJOCは2月下旬、学校が開く報告会や祝賀会の公開は認める―と方針を一部緩和した。ただ企業については認めていない。こうした批判を目の当たりにした日本パラリンピック委員会(JPC)は9日に開幕する平昌パラリンピックに向けた学校や企業の壮行会の公開を認める方針だ。

 全国407校が加盟する日本私立大学協会は2月27日、「一律の規制は東京大会の成功に水を差す」と方針の改善を求める要望書を政府に提出。菅義偉官房長官が記者会見でJOCの対応を「考え過ぎのような感じがする」と述べるなど、政府内からも疑問の声が上がっている。

 1998年の長野五輪以来、22年ぶりに日本で開催される東京五輪。応援の機運を盛り上げることも五輪を成功に導く大きな鍵だ。JOCの広報担当者は「IOCの基本方針と整合性を取りつつ、どうすれば公開できるのか検討したい」とする。

 早稲田大の原田宗彦教授(スポーツビジネス)は「妥協点を探すべきだ。壮行会の公開を認める代わりに選手は私服で参加するなど、内規で取り決めればいい。政府主導で指針を作ることも考えられる」と指摘している。