笑顔でインタビューに答える小平奈緒選手。右下は小平選手のサイン=22日、長野市の信濃毎日新聞社

小平選手「収穫積み上げたい」 本紙が単独インタビュー

201803/23

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪スピードスケート女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒(31)=相沢病院・茅野市出身=が22日、長野市の信濃毎日新聞社で本紙のインタビューに応じた。1000メートルでも銀メダルを獲得した平昌五輪を「日々、積み上げてきたものが結果につながった」と振り返り、今後の競技活動については「20日に練習を再開した。(来季に向けて)少し体も休めつつ、自分の収穫を積み上げていけるようなシーズンにしたい」と語った。
 小平は、夏冬を通じて五輪個人種目で金メダルを獲得した長野県出身選手第1号になった。「すごく名誉なこと」と受け止める一方で、「自分の肩書(が大切)ではなく、私自身も長野県の人が頑張っていると勇気をもらえるように、そういう存在でいたい」と話した。
 昨年12月には女子1000メートルで世界新記録を樹立したが、女子500メートルでの世界記録更新の目標は来季以降に持ち越した。小平は「チャンスをしっかりつかみにいける準備をしたい」と挑戦を続ける姿勢を示した。
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 平昌(ピョンチャン)冬季五輪後に体調を崩した小平奈緒選手(31)=相沢病院・茅野市出身=だが、現在は体調も戻り、20日には来季に向けた練習を再開。22日の本紙インタビューに「今はやる気しかない」と明るい表情で新たな目標に向かう意欲を語った。スピードスケート女子500メートルで金メダルを獲得した平昌五輪にどんな決意で挑み、そこから何を得たのか。この先のビジョンは。今の率直な思いを聞いた。

 ―平昌五輪から約1カ月が経過した。今の心境は。どんな生活を送っているか。
 「(海外遠征中に体調を崩し、3月5日に)帰ってきてから5日間くらい寝込んだ。今は、いろんな方々にお礼を言いながら次のステップへの準備期間に充てている」
 ―気持ちは既に次のシーズンに向いているのか。
 「オリンピックを駆け抜けたいと言ってきた言葉通り。モチベーションを持て余してシーズンを終えてしまったので、今はやる気しかない。(女子500メートルの)世界記録への挑戦に向けて、自分の体と向き合っている」
 ―体調を崩して不本意な形でシーズンを終えたのは残念だった。
 「もったいなかった。(五輪の)500メートルが終わってから、平昌(五輪会場)で滑る機会があり、そこで滑りが変わってきた感触があった」
 ―滑りが変わったとは。
 「あの(五輪の)レースの後、男子の500メートルと1000メートルを会場で見た。普段、試合で男子の滑りを見る機会がない。(自分自身の目で)男子の滑りを見た時に、自分の中に入り込む良い感覚があった。すごく勉強になった」
 ―銀メダルだった1000メートルの後は悔しさもあったか。
 「ベストの滑りができれば2番でも3番でもいいと言っていたのに、終わってみたら悔しい思いが出た。それは何だろうと考え、自分の中で語り合った。答えは、ベストを尽くしたつもりだったけれど、まだできるんじゃないかと思ったことが悔しさだろうということ。(悔しさは)当日の夜にはなくなっていた」
 ―日本選手団の主将として「百花繚乱(ひゃっかりょうらん)」のテーマを掲げた。
 「全部一人でやるべきなのかなと考えた時、選手団はそれぞれが主役だと思った。私自身も百花繚乱の一員になれば、伸び伸びとオリンピックを過ごせると思った。自分で考えて、バシッと掲げた」
 ―金メダリストになったことで心境の変化はあるか。
 「気持ちの変化はない。20年前に長野オリンピックで見た景色や、そこで感じたスケートの面白さは変わらない」
 ―長野県出身選手として、五輪個人種目で第1号の金メダリストになった。
 「すごく名誉なことだが、そこから何かを伝えて、いろんな人たちがプラスの方向に行動を移せるようなきっかけになることが最終目標」
 ―女子500メートルで五輪3連覇が懸かった李相花(イサンファ)選手(韓国)との絆が反響を呼んだ。
 「(レース後に肩を抱いて言葉を交わした)あのシーンは、オリンピックでのワンシーンではなくて、私とサンファが競技生活の中で築き上げてきたもののほんの一部でしかない。スケートへの向き合い方をお互いに築き上げてきた結果。単なるパフォーマンスではないということはすごく大事にしたい」
 ―競技仲間、ライバルの存在は。
 「スポーツは競い合うもの。相手がいないと成り立たない。その意味では(競技仲間も)競い合うライバルだが、お互いを尊重する気持ちがないとスポーツとして成り立たないと思っている」
 ―次のシーズン、さらにその先の競技生活のビジョンをどう描いているか。
 「今年は、周りの人にお礼を伝える時間と自分の競技生活をうまく両立させたい。今の時点で4年先を決めるのは早いと思っている。日々の積み上げと、1年1年、目の前のことに集中していく中で(2022年)北京オリンピックが目指せるとなったら、そこに向かってまた駆け抜けていきたい」
 ―500メートルの世界記録更新に向けては。
 「チャンスをしっかりつかみにいける準備をしたい」
 ―将来は教師になる夢を持っている。教師や指導者として何を伝えていくか。
 「私が結城(匡啓コーチ)先生からそうしてもらっているように、学びを引き出せる存在になりたい。上下の関係ではなくて、お互いを尊重し合える関係で、子どもたちの良いところを見つける指導者になりたい」
 ―学びとは何か。
 「成長し続けるために人生を豊かにするもの」
 ―信州の子どもたちへメッセージを。
 「いつも私が口にしているのは、『与えられるものは有限、求めるものは無限』という言葉。与えられるものにも感謝しながら、自分で求めるものにしっかりと耳を傾けて、その道を選択したら自信を持って突き進んでほしい」