成田空港に帰国し、W杯総合王者の証しのクリスタルトロフィーを手に笑顔を見せる渡部暁斗(北野建設)=27日

渡部暁「もっと実力高める」 今季8勝達成し帰国

201803/28

 ノルディックスキー複合のワールドカップ(W杯)で今季8勝を挙げ、日本勢として23季ぶりに総合優勝した渡部暁斗が27日、弟の渡部善斗(ともに北野建設)らとともに、W杯最終戦が行われたドイツから成田空港に帰国した。渡部暁は空港での取材に「皆さんにチャンピオンだと思ってもらえるようにもっと実力を高めたい」と、今後に向け言葉に力を込めた。
 複合日本勢のW杯総合優勝は、1992〜93年シーズンから3連覇した荻原健司(現北野建設ゼネラルマネジャー)以来2人目。渡部暁は、故郷の北安曇郡白馬村で開催した個人第13戦まで4連勝するなど総合優勝争いを終始リードし、2戦を残して初の総合優勝を決めると、最後は2連勝で締めくくった。
 2月の平昌冬季五輪では、個人ノーマルヒルで五輪2大会連続の銀メダルを獲得するなど充実のシーズンを終えた。
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 W杯総合王者の証しのクリスタルトロフィーを手に今季を振り返った渡部暁。言葉に自負をにじませつつも浮かれた様子はなく、さらなる成長を期していた。

 ―悲願のW杯総合優勝のタイトルを獲得した。
 「気持ちはそんなに高ぶっていない。冷静に受け止めている。それは、唐突に取れたわけではなくて、着実に積み重ねてきた結果だから。意外と爆発的な喜びがない」
 ―4勝だったシーズン自己最多勝利数を大幅に更新する8勝を挙げた。
 「大崩れしなくなったところが一番の成長。(シーズン中に)2回も骨折するとは思わず、精神的にも体力的にも疲労したが、ある意味、今までで一番充実したシーズンだった」
 ―"キングオブスキー"に近づいたか。
 「僕が自分で言うことではなく、皆さんがどう評価するかで決まる。ただ、W杯の総合優勝が世界一だと思ってやってきて間違っていなかった。皆さんにチャンピオンだと思ってもらえるようにもっと実力を高めたい」
 ―W杯総合優勝が世界一だと考える理由は。
 「山登りで言えば、オリンピックとW杯では山の種類が違う。富士山に登るか北アルプスを縦走するかの違い。誰もが知っている有名な単独峰に登れば『すごいね』となるが、縦走は相当な覚悟と準備と期間がないとできない。(五輪で)金メダルを取ったことはないけれど、(実際にW杯で総合優勝し)世界一で間違いなかったと言える」
 ―金メダルの目標を公言した平昌五輪は銀メダル。悔しさも残ったか。
 「オリンピックが終わって、すぐに(W杯に)切り替えなければいけなかった。今となっては(五輪は)遠い昔のことのように思える。骨折の対処や、追われる立場での総合優勝争いなど初めてのことがたくさんあって、日々夢中だった。落ち着いて頭の中が整理できれば、今と違う感情が浮かんでくるのかな」
 ―昨季まで個人総合5連覇したエリック・フレンツェル(ドイツ)の存在は。
 「僕の実力からするとフレンツェルには遠く及ばない。結果として総合優勝は残ったけれど、(W杯総合王者に)ふさわしい選手になれるようにもっと努力したい」
 ―今後の目標は。
 「これ(W杯総合優勝)とオリンピック、世界選手権が大きな三つのタイトルだと思う。自分が思っていることを発言するためには、これ(W杯総合優勝)だけでは足りない。残り二つのタイトルを取ることが大きなモチベーションになる」